145 ゴブレット 消えた名前 ページ5
謎の美女と遭遇したドラコ。
彼がハロウィンを迎えるまで魔法省を中心に、イギリス国内はものすごい騒ぎになっていた。
クィディッチのワールドカップの夜では、例のあの人の復活を予言させるようなどくろマークが夜空に上がり、子供も大人も関係なく彼らの脅威におびえる形となった。
そんな中、ホグワーツに戻ってきた彼らが聞いたのは、百年に一度のトライ・ウィザード・トーナメント(三大魔法学校対抗試合)が開催されるという夢のような朗報だった。
ハロウィンにやってくる他校生徒を待ちわびる中、ハーマイオニーは一人自室にこもり、大量の手紙束の前ににらっめこをしていた。
その内容はハーマイオニーの体調を心配し、自分の身の回りを伝えてくる、端的に言えばごくごく普通の手紙なのだが…一つだけ違うことがあるとすれば、その差出人の名前が書き消えていること。
それは手紙を盗み見た人間が意図的に消したわけでもなければ、何かの拍子に破けてしまったわけでもない。
まるで穴抜き、そう例えるなら虫食いにでもあったように消えてしまっているのだ。
「…、フィニート、フィニートッ、フィニートッ！」
何度魔法を唱えても、真っ白羊皮紙に文字は現れない。
悔しそうに、歯がゆそうに、唇をかんだハーマイオニーはやがて疲れ切ったように、ばたりと後ろに倒れた。
この謎の手紙を見つけたのは彼女が、マグルの実家に帰省した時だ。
自室の整理をしている時に出てきたそれに違和感を感じたのは、すぐだった。
両親に確かめると嬉しそうに話し出すのは彼女の友人、Aという少女のことだ。
だが残念な話、ハーマイオニーはその少女のことを知らない。
唐突に出てきた彼女の名前に固まってしまったハーマイオニーを前に、両親は顔を見合わせた。
「ハーマイオニー？どうしたの？貴方顔色が悪いわよ。」
「そ、そうかしら？」
「ええとても悲しそうな顔をしているわ。」
心底心配する両親を前に、ハーマイオニーは言おうか言わないか迷った。
何せ自分の親友のはずなのに、話を聞いてる両親のほうがよほど、そのAという少女を知っているようから。
それは、なんだか胸の奥に詰まった何かで、かゆいところに手が届かないような、あのもどかしい感触にもよく酷く似ている。
「…あの、私、
その子のこと、…あまり覚えてないの、」
「ッ、なんだって？！それは、どういうことだ？
ハーマイオニー、まさか、」
青ざめていく両親に、ハーマイオニーは慌てて否定する。
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作者名：アサノ x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年6月2日 16時
