174 ゴブレット ページ34
「(継承者…だと？)」
黒髪に緑色の瞳をキラリと輝かせた男は、ひっそりと様子を伺うように彼らを覗き見た。
一方のドラコは、じっと自分を見つめたままのセオドールを見上げる。
腕の中の彼女は相変わらず身動き一つしない。
グッと手のひらに力を込めたドラコは、セオドールを警戒の眼差しで見つめた。
「継承者なんて僕は知らないぞ。」
「だろうな、小心者のお前がそんなことを知るとも思えない。
だが、ゲラート・グリンデルバルドの右腕として知られていた女が腕の中の女と酷似していることが、この写真と関係ないと思うか？」
「…思う。」
「本気か？」
「ああ…」
無言のにらみ合い。
一人盗み聞きをしていたアルフは、ふーんとひっそりと考え込む。
「(ドラコのことはさておき、ノットの考えは何と無くわかってきたな…
要するに、イギリス国内でヴォルデモート卿が好き勝手したいなら、寧ろ他の異分子は彼らの邪魔になる。
すでに死んだ人間とは言え、奴の継承者は彼らにとっては見過ごせない＿＿＿ってところかな。
でも継承者が邪魔になる以前に、前提としてヴォルデモート卿が復活しなきゃそもそもこんな話にはならない…
ということは＿＿)」
ふむとアルフが納得するのと、ドラコの喉仏が上下するのは同時だった。
「さっきから何が言いたい。
隠していることがあるなら素直に言ったらどうだ。」
「素直なんてお前の口から出るとは思わなかったよ。」
「話をそらすな。」
「言わなくてもお前なら時期にわかる。」
「勝手に聞いておいて知らないでいいだと、ふざけるな。」
ぎらりと睨みつけたドラコだが、セオドールは険しい表情から一変、にやりと口角を上げた。
「ほんと単純だよな、お前。
お飾り程度の脳みそでももう少し考えられるだろ、じゃあな。」
「あ、おい。」
と一方的に絡んで、さっさと消えてしまったセオドールを、ドラコは姿が見えなくなるまで睨みつけていた。
「(急に絡んできたかと思えば、あっさりと逃げたな…)」
腹の探り合いは貴族のお遊びのようなものだ、
なぜドラコが途中でその流れを断ち切ったのか、理由がわからなかったアルフがじっと見つめていると＿＿
はあっーーと盛大にため息をついたドラコは腕の中の少女を見つめた。
「もう寝たふりはよせ。」
長い沈黙の後、ぱっちりと開いた双眼。
「いつから気がついていたの？」
「呼吸が途中から変わった。」
「だからさっさと追い返したのね。」
ひどい人、と小さく笑った彼女。
175 ゴブレット さあて策士は如何に→←173 ゴブレット
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アサノ x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年6月2日 16時
