何気ない日常を… (ページ30)

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駆け引き…？【アルフ】ページ30

「…ご褒美、ねえ…」

目の前でボコボコと不気味な音を立てているそれを、アルフは眺めるように見つめていた。

「(俺にご褒美なんざくれて知らねーぞ。)」

と、意味深なため息を吐くアルフ。

悪魔の化身と謳われているアルフを唯一振り回すことができる、そんな彼女のご褒美。
奇想天外、人外発想などと散々脳内で罵ってきた彼女に、そんなこと言われてしまった以上、気になり続けていたアルフ。

目の前の不気味なそれがボコンと破裂したのと、扉が開けられたのは同時だった。

「…おい、貴様何をしている。」
「やあやあスニベリー教授、相変わらずの陰険くさい顔ですねえ。」

と初っ端から喧嘩を売ったアルフに、スネイプの表情は歪む。

「何をしにきた。
用がないのなら帰りたまえ。」
「いやね、とあるタレコミがあったんですよ。
魔法薬学教授が生徒にそそのかせれていたずらの一端を担っていると。」
「はあっ？！」
「もちろん僕はスリザリン寮の監督生として、そして先生の教え子として、そんな屈辱的な展開は望まない。
何を企んでいるかは知りませんが、早急にお辞めになったほうがいいのでは？

色々と。」

とにっこりと含みのある笑顔にスネイプはもはやどこから突っ込んでいいのか分からなかった。
どうしてこうも暴言の塊をスラスラと言えるのか、怒りを通り越して感服する勢いだ。

そしてあることが引っかかった。
先程駆け寄ってきた生徒で、このアルフにご執心という変わった趣味を持つことを。
そして何より、目の前のこの男また、例に漏れずその少女を大切にしていることを。

試してみるか、そんな感情がスネイプを埋め尽くした。

「そうか、そのタレコミにはこう付け足されていなかったか？
その悪戯を目論む生徒は、とある監督生に課題の代行を頼んだと。」
「はあ？」
「加えて代行された課題は、魔法史の課題の中でも群を抜いて難易度が高く、しかも満点だったと、、、、なんとまあ非常に興味が湧く。」

ニヤリと不敵に笑うスネイプに向かって、アルフは、この野郎と表情を露わにした。
だが、ふとその表情にスネイプは昔の自身に重ねた。

不器用すぎて肝心な時に役に立たなかった自身の初恋を。

明らかに苛立っているその男にふっと鼻で笑いとばしたスネイプは、次の瞬間あっさりと秘密を暴露した。

明かされたその秘密に、驚いたような呆れたような複雑な顔をしたアルフ。
男を前にスネイプは一つ思った。

「(後悔だけはするなよ…)」

と。