何気ない日常を… (ページ21)

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結局は【ヨンリ・ノヴァ】ページ21

授業からの帰りだった、普段なら喧嘩をしない限りよって来ない筈の後輩がヨンリの元にやって来たのは。

「ヨンリ先輩！」
「おや～ノヴァじゃないか。」

額に掌をかざしたヨンリは嬉しそうに笑った。
女性らしい、と言うよりは元気一杯と言った方がいい彼女の眩しい笑顔にノヴァは、焦った様な顔でヨンリに詰め寄った。

「あの、シャロンさんの様子がおかしいのですが、ヨンリ先輩何か知りませんか？」
「…答えて上げてもいいけど～な～んでmeに聞くのかな～」

暫くの間を持ってコテンを首を傾げた意地悪な先輩にノヴァは眉をひそめた。

「お言葉ですが授業が始まる前にシャロンさんに何か言いましたよね。
僕偶々見ていたんですよ。」
「…ふーんじゃあもう一つ聞くけど、それ、ほんとにたまたまだったのかな～」
「…何が言いたいんですか？」

紳士で敬語男と名高いノヴァにしてはやや険悪な表情だ。
焦れったそうにしているノヴァをニヤニヤと見つめていたヨンリはそもそも、と続けた。

「もー君がシャロンちゃんにmeの秘密を話しちゃったから、あんな事になっちゃったんじゃないか～」
「あんな事って…僕はただヨンリ先輩に少しでも何か食べて欲しくて…」
「でもそれとmeの秘密をばらしちゃうのは別だよね？」

といつもよりも鋭い一言にノヴァは思わず口を噤んだ。
にまあっと笑ったヨンリはシャロンにやったように耳元にそっと囁いた。

「meはこの辺で退散するけど、君もも～ちょっと素直になっていいと思うな！」
「は、？た、退散って…」

と理由を聞こうとすれば既にヨンリは廊下の向こうへ、代わりに現れたのは落ち込んだ様子のシャロンだった。

「…お邪魔だったかしら？」
「見ていたんですか？シャロンさん。」
「そっちこそ。
賭けの事をヨンリ先輩から聞いていたんでしょうけど、今更言っても遅いわよ、」

とぷいと勝手にそっぽを向かれる有様。

「駆け？何の事です？」
「すっとぼけなくても結構ですわ、そもそも悪魔にロザリオをかざそうとした私が馬鹿だったんだわ。」

と更に訳の分からない事をぼやいてくるりと背を向ける有様。
シャロンが何を言っているのかさっぱり訳が分からなかったノヴァだが、この間と立場が逆転している事だけはいくら鈍い彼でも分かっていた。

だから、離れていたその距離を一気に詰めて、

「待って下さい、シャロンさん。」

と華奢な体躯の彼女をその腕に納めた。