何気ない日常を… (ページ17)

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脱兎【ヨンリ・レイ】ページ17

「あ！アルフだ。」
レモン事件(命名者ヨンリ)から少し経ったある日。
ヨンリは、レイと授業に向かっている途中で悪魔の化身、アルフが先にいた。

「おーい！アールーフー…って、ありゃりゃ？」
廊下一体に響くレベルの音量で彼の名前を呼んでみた。しかし、アルフはこちらを見てギョッとしたあとそそくさと走り去って行った。

「うーん…、今のは避けられたよね？」
隣にいるレイにヨンリが声をかければ、知らん。と短い返事が返ってきた。相変わらずレイとアルフは反りが合わないらしい。

首を傾げた。
「そんなにmeがあげた栞、気に触ったのかな？それとも、想像以上に気に入ったのか？」
他に思い当たる節がないようだ。
そのまま体まで横に傾けようとし始めたヨンリの姿勢をレイが正して、再度歩き出す。

「(まさか、アルフが来ないのは、あの一言に関係があるのか？)」
かく言うレイもアルフの行動には不審を募らせていた。あの他人の事など考えもしない悪魔がある人を見ただけで逃げていくのだ。

もちろん、それはレイの隣で呑気に鼻歌を歌っているヨンリなのだが。
存在するだけで、アルフが逃げていくなんてまるでロザリオ(十字架)か何かのようだ。

「どーしたら、話せるかなー？」
鼻歌交じりの声でヨンリが呟けば、レイの眉が歪む。
「自分から関わりに行くのか？悪魔の化身だぞ？ヌガーを顔に付けてきたり、嫌いなものを嬉々と送ってくる野蛮なスリザリンだ。」

今までのアルフの悪事を思い出したのか、さらに眉のシワが増す。
察そう、スリザリンのスニベリー先生の様だとヨンリは心の中で思った。流石に口には出さなかったが。
「そーお？アルフは優しー悪魔だよ。」
心から思ったことを伝えたヨンリにレイは苦笑いをこぼした。

変人の前では最早悪魔の化身など、優しい人に見えるらしい。
「あんな奴、理解できないし、したいとも思わんな。」
「ま、それがレイとアルフだよねー。」
一対一でなければヨンリと会うことができるらしいアルフ。
先日のレモン事件でもレモンジュースをくれたのは彼だ。あれは、なかなかにスッキリしていてヨンリでも飲みやすかった。

「嫌われては、ないんだろーけどなー。」
そもそもの話、アルフは嫌いな人が出来たらとことん潰すか、無関心を決め込むかの何方かだ。
逃げるなんてことはしないのは周知の事実。

「どーしたもんかねぇ？」
ポツリ、とヨンリは呟いた。