141 アズカバン ページ49
「貴方に声をかけることに理由が必要なの？」
質問を質問で返した女の失礼さはこの際さておき…
今彼女はドラコに向かって何を言ったのか。
正体を明かさないための一興と称された仮面舞踏会において、お互いの正体を探るのはご法度されているが、それ以上にこの特殊な仮面をつけたものに接触する時点で、自分には目的があるのだと宣言しているも同然だ。
そんな暗黙の了解がある中で、女の宣った言葉はドラコの予想の斜め上を行くものだ。
驚きで声もでないドラコに、呆れたような口元を引っ込めた彼女は、途端真面目くさったようにその口元をキュッと締めた。
「まあ目的がないと言えば嘘になるけれど…。」
握っていた筈の手はするりとドラコのほおを撫でる。
ひんやりとした指先に反してその手つきは柔らかく優しげだ。
「私は貴方だから声をかけたのよ、そこに理由なんてない。」
仮面の向こう側まで見透かしてくるようなまっすぐなその視線に、ドラコはゴクリと喉を鳴らした。
しかし黒地に金の装飾で彩った仮面から一切の表情は見えない。
強引だったり、呆れたり、真面目になったかと思えば、途端表情を殺したり、女の勝手な振る舞いにドラコは謎の焦燥に駆られた。
何故だか分からないが、それでもドラコはこんな意味のない、見えないやりとりに苛立ちを感じたのだ。
そう思った瞬間、胸の内に抑えていた悪態は口を突いて出た。
「生憎だが、そんな嘘で丸め込まれるほど僕は甘くないぞ。」
突然の宣言に、彼女は一瞬驚いたのか僅かに顔が上がる、しかし、相手は強敵。
やはりその仕草はすぐに押し殺された。
「ふふそれもそうね。
でも私の気持ちが嘘だと思われるのは癪に触るわ。」
真面目に見えたその口元に再び表情が戻る。
いいこと思いついた、まるで子供のように嬉しそうに笑顔になった彼女は、そっとその距離を詰め、ドラコの耳にだけ届くように囁いた。
「ならこうしましょう。
私が貴方の前に姿を現わすその時までに私の正体を暴いて。」
溢れんばかりの色気に持っていかれそうなところを、ギリギリの理性で踏みとどまったドラコは、ぎらりと睨みつけた。
「…偽りだらけの君をどう暴けと？」
「そんなの簡単よ、だって私は貴方の側にいるもの。」
意味深な言葉にドラコは、目を見開く。
「期限は一年後のこの日まで。
楽しみに待っているわ、ドラコ。」
どこか懐かしいその言葉を最後に、ドラコの意識はぷっつりと糸のように途切れた。
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アサノ(プロフ) - ああ、それでしたら、hp2018で開きますよ。分かりにくかったらすみません。 (2018年4月4日 22時) (
レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - branding and Loveという小説の全てにパスワードがかかっていて… (2018年4月4日 21時) (レス) id: f5c10c9f75 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - マイボードの方に来ていただければ分かりますが、どの作品でしょうか？ (2018年4月4日 21時) (レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - アサノさんの作品でパスワードを入力しなくては見れない作品があるのですが、パスワードは教えてもらえるのでしょうか？ (2018年4月4日 21時) (レス) id: f5c10c9f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作者ホームページ：
作成日時：2018年3月28日 15時
