140 アズカバン ページ48
「難しいことなど仰らないで。
折角だから踊りましょう？」
手を取られたその先にあるのは女の細い腰、ぐいっと迫ってきたその距離にドラコはくらりと来た。
「君、強引にも程が、」
しかし不穏な空気の間に図ったように流れるのは、ゆったりとした上品な3分の4拍子の曲。
「あら、ワルツですわ。」
瞬間、ふわりと一歩下がりステップを踏み始めた彼女に、ドラコも釣られる様にステップを踏む。
慣れ親しんだそのステップは、ドラコの意思に反してするりするりと淀みがない。
「っ、」
こうなったら自棄だ。
社交辞令だ、本意じゃない、そう自分自身に徹底的に言い聞かせたドラコは、やや強引に女を引いた。
ドラコから僅かに伝わってくるその仕草に、女はハッと顔を上げた。
驚きで僅かに口元が開かれていたが、途端その口元は嬉しそうに弧を描いた。
「ふふ、貴方だって強引じゃないの。」
「そうか？君がついてこられないだけだろう。」
「まあ失礼しちゃう。」
初対面の女性と何を言い合っているのか、頭の中では冷静でも、何故かドラコの口調は素のままだった。
そして彼女もまたそこを言及することなくドラコのリードに大人しく導かれている。
上品で文句のつけどころのないステップに反して、二人の間はお世辞にも穏やかとは言えない。
ちぐはぐもいいところな二人の踊りは、バルコニーにしては広すぎるその空間には十分過ぎるくらいに似合っていた。
紫と紺色が混在する空色に、女のアッシュブロンドはぼんやりと浮いたように見える。
色白の腕やうなじ、胸元を惜しみなく見せている真紅のドレスの裾は、波のように浮いては沈む。
苛立つくらいに愉快そうな口元に彩られたリップは、何処と無く色気を醸し出していて、ふとした拍子につられてしまいそうな程、淡く脆そうな代物だ。
一瞬か、永遠か、そんな曖昧な時間は、途切れた曲を合図に終わった。
二人はどちらからともなくふと足を止め、手を握り合ったままだ。
何かもの言いたげなドラコの、複雑そうに歪んでいる口元を見つめていた女は、黙っていた。
「…どうして僕なんだ。」
今更過ぎる質問だが、ドラコの脳内に残った疑問はそれ一つだった。
本当なら相手の名前から、住所、歳、このパーティーにやって来た目的まで、洗いざらい問いただしたいところだが、お互いの仮面がそれを許さない。
真摯な、それでいて過分な無駄のない質問に、女は初めて違う笑みを見せた。
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アサノ(プロフ) - ああ、それでしたら、hp2018で開きますよ。分かりにくかったらすみません。 (2018年4月4日 22時) (
レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - branding and Loveという小説の全てにパスワードがかかっていて… (2018年4月4日 21時) (レス) id: f5c10c9f75 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - マイボードの方に来ていただければ分かりますが、どの作品でしょうか？ (2018年4月4日 21時) (レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - アサノさんの作品でパスワードを入力しなくては見れない作品があるのですが、パスワードは教えてもらえるのでしょうか？ (2018年4月4日 21時) (レス) id: f5c10c9f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作者ホームページ：
作成日時：2018年3月28日 15時
