134 アズカバン ページ41
「っ、」
隠し持っていた鋏を取り出し、無駄に長い髪を切り落とそうとするも…
「やめなさい。」
たった一言口にするだけで氷付けにさせる温度のない制止の声に、Aは自分の迂闊さを呪った。
振り返るまでもなく自分を覗き込んだその顔は、ニヤリと冷徹な表情を残して、清々しいくらいに歪む。
「ダメだろう、いきなり逃げては。」
掴まれていた髪は離されることなく金縛りの呪文が、再びAを襲う。
足の指先、くるぶし、膝、股、腰、背中、指先、手首、肘、肩、首…全身をうん万という蛇が這うような気持ちの悪い感触に、Aは表情をゆがめた。
持ち上げていた指に力が入らなくなり、遂には握りしめていた筈の鋏も、カランと音を立てて落ちた。
Aは、観念したように溜息をついた。
「…用件はなんです？遂に殺しでにもきましたか？」
「はっ何を寝言は寝ていうことだな。」
冷たく一蹴した男。
Aの鋏を蹴り飛ばし、追い詰められても尚、噛み付こうとする娘を見下ろした。
「…ようやく…ようやくだ。」
色のなかった筈の瞳に笑みがともり、にこりと微笑んだ男にAは寒気がした。
「ようやく戻ってきた…」
うわごとのように呟きながらAの両肩を抱きしめた男。
「貴方…」
背後に立ってい筈の女もまた、するりと男の元に膝を曲げて、一緒になって泣いている。
カオスにカオスをかき混ぜたやりとりに、Aはすでに現実逃避をしていた。
一体何が戻ってきたのだろうか、例のあの人でもいうのだろうか。
お世辞にも全く笑えない冗談を、せめて心の中で呟いたA。
すると下がっていた筈の頭が不意に上がる。
目元に涙を溜め、ブルブルと感嘆しきって揺れている唇。
見たくもない情けない光景にAが視線を逸らそうとすると…
「ようやく戻ってきた。」
とものすごい力で抱きしめてきた。
「…は？」
抵抗なんてさせて貰えるはずもなく、黙ってされるがままのAは何がどうなっているのか、頭をフル回転させた。
ルシウスの謎のそぶり、鬼ごっこは終わったという女の言葉。
…もしも一連の流れが、彼らの思惑通りなら、ひとつだけ結論が出る。
それは…
「A、もう何も怖がらなくていいんだ。
一緒に暮らそう。」
死喰い人の庇護のもとに＿＿＿＿それはAが最も恐れていた事態を回避する一方で、数ある親友たちを裏切るということが。
そして今のAにとって、それは願っても無い事態ということが。
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アサノ(プロフ) - ああ、それでしたら、hp2018で開きますよ。分かりにくかったらすみません。 (2018年4月4日 22時) (
レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - branding and Loveという小説の全てにパスワードがかかっていて… (2018年4月4日 21時) (レス) id: f5c10c9f75 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - マイボードの方に来ていただければ分かりますが、どの作品でしょうか？ (2018年4月4日 21時) (レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - アサノさんの作品でパスワードを入力しなくては見れない作品があるのですが、パスワードは教えてもらえるのでしょうか？ (2018年4月4日 21時) (レス) id: f5c10c9f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作者ホームページ：
作成日時：2018年3月28日 15時
