5 賢者 ページ10
「うんうん、いい子じゃ。
さあお嬢さんはコレを。」
Aは目の前に差し出された杖を握りしめながら、オリバンダーの説明をろくに聞きもせずにスッと振ると、
パリンッと目の前でオリバンダーの直ぐ横の電球が割れてしまった。
「ご、ごめんなさいオリバンダーさん！」
「いえいえ、これは少々困りましたな。」
「えっ？」
「この黒檀の杖に非常に忠誠心が高いのですが…、
はてお嬢さんどこかでお会いした事は？」
「いえ、ないですわ。」
つい素の素っ気ない態度がでる程Aは近づけられた顔をしかめた。
するとオリバンダーはポンと手を叩き、奥に消えたと思ったら直ぐに戻ってきた。
「これはどうでしょう。」
目の前に差し出された杖は、
12インチと少々長めの杖、加えて手元の部分には何か小さく文字が刻まれている。
「(Edward、…エドワードって…まさか既に誰かのものだったの？)」
訝しげに店主を見つめるAに、オリバンダーはうんうんと頷く。
冗談じゃないと言いたげに顔をしかめたが、Aはスッと杖の切っ先を動かす。
すると、辺り一帯にふわりといい様のない暖かい空気が立ちこめて、Aは目を見く。
傍らのドラコも興味なさそうにそっぽを向いていたが、Aの杖の異常な状態に目を見開く。
只一人、オリバンダーは満足そうに頷き、Aの顔を見つめた。
「それは柊で出来ており、芯にはザクロの種を少々。
貴女の様な方にこそ相応しい。」
「…そうありがとう。」
警戒する様なAの視線に、にこっと笑ってみせるオリバンダー。
一方のドラコは是が非でも外されない化けの皮がはがれた事に心底驚いていた。
ぴったりのお金を置いて立ち去るAに、ドラコはワンテンポ遅れるが直ぐに追いかける。
「どうしたんだ、君らしくない。」
「いいえなんでもないの。」
「なんでもなくないだろ、なんだんだよさっきの態度。」
「だから、」
とAが言い返そうとしたとき、スッとその険しい表情は消えて、普段の八方美人な姿に戻る。
「ドラコ、杖は手に入れたかね。」
「はい父上。」
「君は？」
「はいきちんと買えましたわ、おじさま。」
にこっと微笑むAにうんと頷いたルシウスは二人を連れ立って、ダイアゴン横町を離れてそのまま店まで連れて行く。
ドラコがAのおかしな様子については言及する事は出来ず、この時の真意が明かされるのは随分と後の事だった。
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レモン(プロフ) - 秘密の部屋のところで夢主が3人を弁護するのが探偵やプロの弁護人のようで面白かったです！ (2018年12月9日 19時) (
レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - レモンさん» ありがとうございます！ (2018年12月9日 19時) (レス) id: 0af6fdad08 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして面白かったです！ (2018年12月9日 19時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - ♪家♪さん» すみません、誤字脱字についてはいけない一斉に直させていただきます。 (2018年1月16日 16時) (レス) id: 989e1d3217 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» 確かに変ですね。ご指摘ありがとうございます。 (2018年1月16日 16時) (レス) id: 989e1d3217 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月27日 19時
