4 賢者 ページ9
「ドラコ、前向かないと、困ってるわよ店員さん。」
「ん、ああ。」
考え事をしていたドラコはふとボンヤリとしていた意識をこちらに戻した。
やっとこさ新調が終わり、さてとAがマルフォイ夫妻を探そうとすると急に手を引かれる。
「こっちだ。
杖を見てもらって来いと言われている。
終ったら食事だと言っていた。」
「了解です。」
そのまま人ごみに巻き込まれないように手を引かれるAだが、ドラコはどうも背が低い所為で難儀しているらしい。
表情の読めない唇がにっこりと弧を描き、ドラコを追い越し、逆に彼の手を引いてずんずんと前に進む。
「なっ」
「ほらこっちの方が効率的でしょう？」
「チッ、ああ、せいぜい盾代わりに励むんだな。」
「あらじゃあ背が小さいのは認めるのね。」
「っ、ち、違うっ！！」
思わず怒鳴り声を上げた所為で周りの視線をあつめたドラコだが、途端Aがへにょっと眉を情けなく下げた。
「ごめんなさい、ドラコ、道こっちじゃないのね。」
「、わ、分かればいいんだっ、」
周囲の視線を集めた恥ずかしさと、Aの演技による咄嗟のフォローに、すっかり頭に来ていたドラコは、ズンズンと荒い足取りでオリバンダー店に向かう。
そしてAもまた性懲りもなく、ドラコの素直な対応の早さに、にやりと人の悪い笑みを浮かべていた。
ーーー
踏み込んだ店は変わらずの埃まみれで、ドラコとAは互いに顔をしかめる。
すると音もなく店主が現れ、ドラコは驚いたがAのポーカーフェイスは崩れない。
白髪の男は二人の客人の顔を覗き込み、うんうんと頷いてから移動する階段から降り立ち、ずいっと二人に迫る。
「君はドラコ・マルフォイ、
こっちのお嬢さんは、ブラック家の人間だったね。」
「ああ。」
「ええ、」
二人とも最低限の答えを返すが、Aはさっきまで忘れていた嫌な名前を繰り返されて、わずかに眉をひそめる。
二人の顔をジロジロと眺めたオリバンダーは、スッと何も告げず奥に消えたと思えば、さっと杖を取り出す。
「9,８インチの山査子の木で、ユニコーンの毛、
これを貴方に。」
ずいっと目の前に差し出された杖を訝しげに眺めたドラコはそれを手に取って、スッと一振りする。
するとまるでふわりと温かな空気が横切ったようにAの頬を撫でて、消えた。
「凄い、」
と無意識に感嘆の声をあげたAに、ドラコは小さく驚いた。
オリバンダーも満足そうに杖を見つめる。
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レモン(プロフ) - 秘密の部屋のところで夢主が3人を弁護するのが探偵やプロの弁護人のようで面白かったです！ (2018年12月9日 19時) (
レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - レモンさん» ありがとうございます！ (2018年12月9日 19時) (レス) id: 0af6fdad08 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして面白かったです！ (2018年12月9日 19時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - ♪家♪さん» すみません、誤字脱字についてはいけない一斉に直させていただきます。 (2018年1月16日 16時) (レス) id: 989e1d3217 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» 確かに変ですね。ご指摘ありがとうございます。 (2018年1月16日 16時) (レス) id: 989e1d3217 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月27日 19時
