26 賢者 ページ31
「この言葉に覚えは？」
固く唇を握りしめたAは、俯いた。
「覚えがある様ですな…」
「何故その事を？」
「ここから先は我が輩の口からは言えんな。」
「では私の過去については何をご存知なんですか？」
「それも言えん。」
「アレも言えないコレも言えないって…秘密の守人でもいるんですか？」
Aは当てずっぽうに言い切ったが、スネイプの能面の様に変わらない眉がぴくりと動き、Aは確信した。
ざわりとAの胸の内に何かがざわめいたが、Aはそれにそっと蓋をした。
「分かりました、私の出生は秘密扱いされる程恥ずかしい代物なのですね。」
「ああ。」
「、本当に遠慮のない先生ですね。」
Aは腸が煮えくり返りそうな気分だったが、そこは懸命に堪えた。
わざとらしく踵をならして出て行こうとするAに、待てとスネイプは声をかけた。
「まだ何か？」
「あの教師の部屋に行けば多少は分かる。」
言うだけ言って鼻を鳴らしたスネイプは、サッとローブを翻して立ち去った。
呆然としてAはとりあえず、教授の言葉を頭に刻み込み、ハーマイオニー達を追って例の部屋へと向かった。
ーーー
翌日まで掛かった後処理を終えたAは隙を見て、クィレルの部屋に忍び込んだ。
整然としている部屋の中、Aはきつい魔法薬の匂いを嗅ぎ付け、思わずローブの袖を引き寄せた。
すると煮えくり返っている鍋の脇には咲く直前にまで大きく膨らんだ、薔薇の蕾が一輪置かれ、Aはサッと顔を青ざめた。
「(この薔薇…間違いないわ…)」
Aは薔薇の花を摘んでローブの袖に隠す、すると視界に端にきらりと何かが光った。
「コレは…」
本棚の奥に転がされたそれをつまみ上げると、それは灰色の様な青色の様なまるでAの目の色をそっくり移した様な、美しい宝石がはめ込まれたネックレスだった。
「何コレ…」
教師の部屋にあるというのに疑念を頂いたAは、よくよくそれを監察すると、裏側に小さく文字が彫られている。
「(D to …)」
そこからは先は読めずに俯いてしまったA。
あの時の魔法郵便でない小包と、Dが記されたこのネックレスの意味が分かったAは、あのときのドラコの言葉が脳裏に響いていた。
「(あのときのプレゼントの意味って…然ういう事…)」
若干熱い耳元を覆うようにAは、早速ネックレスを首に掛けて、微笑む。
時計台の音が、一年の終わりを告げるように盛大に鳴り響いたときだった。
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レモン(プロフ) - 秘密の部屋のところで夢主が3人を弁護するのが探偵やプロの弁護人のようで面白かったです！ (2018年12月9日 19時) (
レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - レモンさん» ありがとうございます！ (2018年12月9日 19時) (レス) id: 0af6fdad08 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして面白かったです！ (2018年12月9日 19時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - ♪家♪さん» すみません、誤字脱字についてはいけない一斉に直させていただきます。 (2018年1月16日 16時) (レス) id: 989e1d3217 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» 確かに変ですね。ご指摘ありがとうございます。 (2018年1月16日 16時) (レス) id: 989e1d3217 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月27日 19時
