も 幽霊は足跡を残さない ページ46
ガタガタッと立ち上がり、書斎を出てスミダを大声で呼びつける。
「スミダ!スミダ!!」
「なんでしょう旦那様。」
怒鳴られながら呼びつけられたことにスミダは、若干青ざめていた。
「おい
私の部屋に入ってきたメイドはどいつだ!」
「は?
旦那様の部屋に入ってきたメイド?
…い、いる筈はありませんが。」
「冗談はよせ!
さっきは私はこの手でこの手紙をメイドから受け取ったのだぞ、居ないとは何ごとだ!!」
「ですから、メイドは全員只今出払っているのです。」
差し出された手紙の束を、受け取るスミダに、男は顔を真っ青にさせた。
二人は真っ先につまりクラーケンの邸に訪れると、
「「どうされましたか?」」
なんとメイドはきちんと"二人"いた。
完全に当てが外れたマクロン氏は、クラーケン氏に促されてもてなされたものの、考えはどこか別に行っていた。
男はずっとうわ言のように繰り返していた。
"あいつはゴーストだ。"と
それは何故か、それは渡しに来たメイドの詳細の一切を覚えていないからだ。
マクロンは項垂れたまま、靴底に隠した例の物を確認した。
すると彼は目を丸くした_____
ーー
深夜、行先をヘッドライトで照らしていく黒い車がある。
車内には三人のメイドと運転手が一人。
この三人のうち二人のクラーケン氏の邸宅で働いていたメイドだが、正体は"男"である。
「全く、本当に"乗り込んでくる"なんて。」
マクロン氏から頂いたオーダメイドの服を着ているAは、信じられないと言う顔で、"女装"していた二人の男を睨みつけた。
一人は波多野で、もう一人は実井、二人はニヤリと笑った。
「だって結城中佐の指示だし。」
「諦めてください、まさか"あちら"の裏帳簿まで手に入るとは、良かったじゃないですか。」
「ゲームは負けてましたけどね。」
運転手の三好は成金上がりの風貌を捨て、煙草を咥えている。
呆れ顔のAは、勝手にしてと呟き外を見た。
今回Aの任務は外国とのチャンネルを持っている資産家、権力者、政治家の現状を把握する事だった。
順調に思われた今回の任務、ところが二つの誤算が生じた。
一つはマクロン氏の所有する"敵国"の裏帳簿の存在だった。
友好国の裏帳簿を所持していた事は事前に把握済みだった。
けれどもう片方は別だ。
公にされていない帳簿となると、大体が軍事資金や人件費、などなど事実上の"懐具合"が探れる代物。
一種の爆弾と見てもおかしくはない。
そしてもう一つ誤算とは、…
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アサノ(プロフ) - masyさん» 返事が遅れてすみません。そんな風に言ってた抱けるだけでとっても嬉しいです。masy様と趣味が合うなんてこちらこそ光栄です笑 (2017年12月27日 1時) (レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
masy - ハリーポッターのも読んでます!もうアサノさんの小説が好きすぎて……(笑)とても面白かったです! (2017年12月24日 20時) (レス) id: 065dd9adad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アサノ | 作成日時:2017年7月9日 14時