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せ 失態すらも利用して ページ47

「フラれた腹いせに自ら盗んだ裏帳簿の罪をAに擦りつけるとは。」
「へえ、それはお疲れさん。」
「御愁傷様。」
「言っておくけれどスミダの好意は察していました。」
「へえ、ならなぜわざわざ相手の策に乗ったのです?」
「それは…

最初にあの男が帳簿の存在を認知していると、知らなかったんです。」

一瞬の沈黙が降りて…

「それはまずいな。」
「馬鹿ですね。」
「本当にスパイですか?」
「…全くもっておっしゃる通りです。」

ほんの少し動揺を見せたAを一瞥してから、三好はコホンと咳払いをする。

「まあ、それはさておき、敵国側の裏帳簿も勿論奪取してきてあるんでしょう?」
「靴底ごと取れる妙な奴ですね。勿論ここに。」

巧妙な作りであり頑丈にするために普通より重たく加工された"それ"。
因みに今のマクロン氏の靴底は偽物にすり替えてある。

「随分と手の込んだことを。
お陰でこいつらに知られてしまったし。」
「独り言、また聞こえてますよ。」
「聞こえるように言ってるんです。」

分かってて言っている、だからこそ腹がたつ。
今回の任務、彼らの"サポート"なしでは、実際にAは任務を最後まで全うする出来なかった。

つい二週間前のことが、Aの中に鮮明に思い出された。

「これは、」

潜入して僅か半日、何か怪しいとは思っていたが、その正体が"別"の裏帳簿だとは思いもよらなかった。

「(とにかく結城中佐に報告を。)」

事前調査では見抜けなかったミスに後悔したが、魔王の警告はもっと別にあった。


「貴様、この間忠告した"振る舞い"をまた忘れているのか。」

低く地獄に引きずり込まれそうな声に、焦りが表に出ないよう、必死に表情を保っていたA。

「ふんいい機会だ。
補佐をやる、この際自分の立場を徹底的に利用しろ。」

結城中佐には珍しいアドバイス、その正体が分かったのは、それから小一時間程して買い物をしに、山を降りた時に判明した。

その正体が"実井、波多野、三好の三人"というわけだ。
そして例の女装騒ぎは彼らの一種の"ヒント"でもあった。
それは三人の誰かがAの身代わりになると暗示し、その上でAは策を施した。

「(疑われているのなら疑わせたままで。)」

追われているのなら、逆に誘導することも出来る。
それが例のコソ泥スパイ騒ぎであり、格好の隠れ蓑にもなった。
おかげでマクロン氏達を、"クラーケン氏のメイド"に釘付けにさせておくことが出来た。

す 最後の"微笑み"→←も 幽霊は足跡を残さない



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アサノ(プロフ) - masyさん» 返事が遅れてすみません。そんな風に言ってた抱けるだけでとっても嬉しいです。masy様と趣味が合うなんてこちらこそ光栄です笑 (2017年12月27日 1時) (レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
masy - ハリーポッターのも読んでます!もうアサノさんの小説が好きすぎて……(笑)とても面白かったです! (2017年12月24日 20時) (レス) id: 065dd9adad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アサノ | 作成日時:2017年7月9日 14時

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