や 第六幕〈真夏のお昼寝〉 ページ30
さて、夏もいよいよ暑さが最高潮に達しているこの頃、
誰もどこへも出て行く気になれず、さして屋内で"比較的"風通しのいい食堂に全員が集合していた。
暑さを耐え凌ぐように、パタパタと扇子で顔を仰ぐが、熱の塊しか当たってこない現状は実に腹立たしい。
ジリジリと窓から入ってくる日射だけで焦げ焼けそうな勢いだ。
「なあ、そう言えばAの奴どこ行ったわけ、」
「さあ大方買い物だろう、」
誰かが返事を返すと、きゃあっといきなり女の悲鳴が上がる。
ガタガタガタッ、
ほぼ反射的に立ち上がった全員は声のする窓辺へ寄る。
すると雑草やら崩れかけた花壇やらが広がる、裏庭の、手入れの入っていない大きな木の陰から、ぴょんと影が飛び出してきた。
見ればそれは真っ黒い黒猫。
「やだわっ、いつからそこにいたの。」
ここにいる全員が聞いたことがないほど、超絶なまでのご機嫌な声にさらに首をかしげる。
声の主はここからではよく見えない。
「ここじゃ拉致があきませんね。」
と三好の妥当な一言に、全員窓から直に飛び出る。
きゃっきゃっと楽しそうな笑い声がする。
何やっているのか、訳がわからんという顔をして近づくと、先に気がついたのはAの方だった。
「あっ、お前が騒ぎを起こすから、皆来ちゃったじゃないの。」
地面に寝っ転がって髪を乱しているAは、見た目通りに猫に押し倒されていた。
めっと形ばかりに怒っているAに、猫は褒めてもらえたのかと、勘違いをしたらしく、ペロペロと頬を舐めて上機嫌になっている。
更に、やだわ、と涙目に笑っているのだからたまったものではない。
「……何をやってるんです？」
心底理解出来ないという表情の三好に、Aはキョトンとした表情の後、読書よと答えた。
「地面に水をかけたの、後は木陰でのんびり読書。
そうしてたらこの子が割り込んで来ちゃって。
だから今は読書と昼寝。」
よいしょと、
猫を抱えたまま腹筋で起き上がったAは、
駄目よお前も、
と和かに猫の顎や頭を撫でては緩んだ口元を隠さず猫と戯れている。
そんなだらしない同僚に三好は頭にきたのか、ズカズカと木陰に踏み混んで猫と戯れているAの隣に腰かけた。
「…こんな野良猫の何処がいいんです？」
「あ、こら、」
すかさず三好に襲いかかろうとする猫を止めたAは、今度は三好に文句を言った。
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アサノ(プロフ) - masyさん» 返事が遅れてすみません。そんな風に言ってた抱けるだけでとっても嬉しいです。masy様と趣味が合うなんてこちらこそ光栄です笑 (2017年12月27日 1時) (
レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
masy - ハリーポッターのも読んでます！もうアサノさんの小説が好きすぎて……(笑)とても面白かったです！ (2017年12月24日 20時) (レス) id: 065dd9adad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作成日時：2017年7月9日 14時
