な 突然のメロドラマ ページ22
白いワンピースをはためかせ、Aは上機嫌で街を歩いていた。
一方甘利も突然のデートに内心有頂天になりながら、綺麗な彼女の隣を歩いていた。
「甘利、これなんかどうです?」
「んーちょっと派手じゃない?」
「なるほど、殿方の意見はやはり大切ですね。」
「あはは、でもAなら何でも似合うよ。」
「そう言う台詞はもっとお楽しみの時に、別の子に言ってあげてください。」
さらっと言われた"褒め言葉"を、なんでもないように流すのがAの特技だ。
強い、内心本当に心が折れそうな甘利は、Aの手の中の物のチラッと目線をやる。
「(下見って奴か。)また貢がせるのか?」
「まあ人聞きの悪い、ただの"おねだり"ですよ。」
「へえ、おねだりねえ、」
「はい」
悪びれた様子もなくサラリと言ってのけるのだから、とんだ悪女だ。
尚も戦利品になるであろう予備軍共を漁っているAの手を強引に引っ張って、もっと洒落た繁華街へと繰り出した。
「もう少し見ていたかったのに、残念ですわ。」
はあーーーっとこれ見よがしなAの大きなため息。
何が悲しくて形ばかりのデートの最中に、貢物の品定めに俺が付き合うんだ、そう文句を言おうとすると、
ドンッ
割と強めにビルディングの壁に押し付けられた甘利。
痛いのは当然か自分の体重のせいだ、
「(ってそう言うことじゃない、一体何を。)」
「しっ、」
目で訴えてくる甘利にAとの距離は一気に縮まる。
ずいっと近くに寄ったAはキスでもしそうな距離で近づいて来た。
「(え、まじ?)」
突然訪れた甘い雰囲気。
戸惑う暇すら与えないAは、ごく"自然な"振る舞いだった。
手慣れた仕草の指先が、心ごと搦めとるように怪しく動く。
女スパイは、真っ直ぐ甘利の目を見つめ、愛おしげに頬を撫でた後予告なしに、"唇のわずか端"にキスをした。
「、」
「…」
しばらく身動きを取らない二人、
ジリジリと初夏の熱い日差しが二人を照らし続ける。
プルプルと爪先立ちで"キス"を続けているAの腰を、甘利はさりげなく両腕で強く引き寄せた。
そんな二人を食い入るように見つめていた影は早足で立ち去った。
どうやらつけられていたらしい、目的は二人のうちのどちらか。
だが甘利には覚えのないシルエット、つまり奴の目的はAの方が高い。
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アサノ(プロフ) - masyさん» 返事が遅れてすみません。そんな風に言ってた抱けるだけでとっても嬉しいです。masy様と趣味が合うなんてこちらこそ光栄です笑 (2017年12月27日 1時) (レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
masy - ハリーポッターのも読んでます!もうアサノさんの小説が好きすぎて……(笑)とても面白かったです! (2017年12月24日 20時) (レス) id: 065dd9adad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アサノ | 作成日時:2017年7月9日 14時