そ 仮面の裏側 ページ19
「知り合いにもハニトラを掛けるのかと言いたいんだ。」
「本心と言うシタゴコロを持ってと言う意味で?」
「まあ、なんとなく…」
「煮え切らない質問ですねえ…だから、そんな事しませんよ。」
呆れた、そう目で訴えているAに、この時神永は漸く気がついた。
Aにとって、ハニトラはあくまでも資金援助の技でしかない。
また、任務のために周りと溶け込む為なら、身を委ねることもいとわない。
要するに何物にも"とらわれていない"のだ。
「(逆に俺は…何をおかしなことを。)」
ぐっと思わず拳に力を入れる神永、対するAは心配そうに眉を潜めた後、下から覗き込みように神永の目を見つめた。
「なにをそんなに思いつめているのか知りませんけど、」
カツンと歩み寄ったAは、スッと神永の額に手を添えた。
指先がひんやりと冷えている手は意外にもほんのりと暖かい。
顔が日照りそうだ、
そう思った頃には、Aの手はするりと離れて行った。
「熱はありませんね。
少し休んでいたらどうです?私はこの後用があるので。」
さらっと長い黒髪を揺らしてAは立ち去った。
言葉をかける間もないほど呆然としていた神永に、ふと窓から声が聞こえる。
「ねえ言ったじゃないですか。
波多野さん、神永はAに手を出さないって。」
「ちっ、そこは思い切りやれよ。」
「意外だな。」
「佐久間さんが賭けをするのが意外だ。」
「福本はなしの方でしたね、じゃあこれを。」
言われなくても何の会話かなんてか分かり切ってる、
すると、
「ちっ、また実井と福本の勝ちとは。
情けない。」
「おーい多分神永聞こえてるぞ。」
「聞こえてるように言ってるんだろうな。」
と三好に甘利に小田切まで。
羞恥に耐えきれなくなった神永が、お前らなあ!と怒鳴ったことは言うまでもない。
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アサノ(プロフ) - masyさん» 返事が遅れてすみません。そんな風に言ってた抱けるだけでとっても嬉しいです。masy様と趣味が合うなんてこちらこそ光栄です笑 (2017年12月27日 1時) (レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
masy - ハリーポッターのも読んでます!もうアサノさんの小説が好きすぎて……(笑)とても面白かったです! (2017年12月24日 20時) (レス) id: 065dd9adad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アサノ | 作成日時:2017年7月9日 14時