▽mission:あむぴとデヱト?3 ページ4
*
なんだかんだしりとりに付き合ってくれた安室さんの愛車が停められた。
なんとなく街灯が少ない道だとは思っていたが、安室さん曰く目的地だというそこはほぼ暗闇だ。
「えっ………今から私コンクリ詰めにされて海に沈められるんです…………???」
「何か言いました?」
「あっいえ何でも」
車を降りるとふわりと漂った潮の香りに、どうやらここは港らしいと見当をつける。
あまりに人のいない様子と安室さんの第2?第3?第3かな?の顔から連想すれば、例の組織の取引場所に使われそうな場所にしか見えず不安がよぎった。
えっ私なんか始末されそうなことやらかしたっけ…………もしかしてさっきのステーキは最後の晩餐…………???どおりで奢ってくれたわけか…………バイト仲間のよしみで………………
「ありがとう安室さん……いい冥土の土産になりました…………」
「何言ってるんですか、こっちですよ」
「あっちょっ待ってくださいよ」
うん、まあなんだかんだ優しいんだよな……と完全に諦めモードでなむなむ手を合わせれば、少し変な顔をした安室さんはずんずんと進んでいく。
車内灯も消え、微かな明かりしか届かない倉庫群の間で慌てて安室さんの背中を追い掛けた。こんなとこ一人で置いてかれちゃ堪んねえや。
「ソイヤッ」
「そ、ソイヤ???」
「あ、どうぞお気になさらず」
小走りで駆け寄り、安室さんの手首を捕まえる。
驚いたように振り向いた安室さんの表情はぼんやりとしか見えないが、私に他意はない。ただお化け屋敷は苦手だということだけ言っておく。察して。
「…………もしかしてAさん、暗所恐怖症ですか?」
「いえ全然」
「ホラー映画は?」
「アッハッハ」
「苦手なんですね」
怖いのが苦手だと素直に答えるのは悔しい気がして誤魔化そうとするが、そりゃ素直に誤魔化されてくれる訳もなく。
身体ごと私の方を向いた安室さんがずいっと顔を覗き込んできた。
暗闇でもはっきり見えるほど近付いた端正な顔に頰を引き攣らせれば、安室さんはニヤリと笑う。
「だったらAさん、……間違えてますよ」
「間違えてないです」
「僕が間違えていると思ったので間違いです」
「横暴だァ…………」
*
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ララ - この話を知ったのは去年ごろで、一度読んでとても面白くて何度か読み返しています! (2022年7月25日 14時) (レス) @page5 id: 6eb4cafdd2 (このIDを非表示/違反報告)
加奈(プロフ) - 何回も読み直してしまうほど面白くて大好きです!リクエストなんですけど夢主ちゃんが黒の組織に入る話が読みたいです、、、よろしくお願いします!! (2021年4月19日 10時) (レス) id: 6b571e8393 (このIDを非表示/違反報告)
神と名乗る凡人 - リクエストってここからでいいんですか? KIDを登場させてほしいです!!本当に好きなんです!! (2019年8月30日 1時) (レス) id: 5e8845cf1b (このIDを非表示/違反報告)
ヴァニタス(プロフ) - いつも楽しませてもらっています!風見さんと夢主を絡ませてください。ついでに、それに動揺している安室さんとかも書いてくれたら私が泣いて喜びます。よろしくお願いいたします! (2019年7月31日 2時) (レス) id: d17f0b1875 (このIDを非表示/違反報告)
salome(プロフ) - リクエストハロと夢主と安室の絡みを見たいハロの散歩や写真取りご飯時遊んでる時いっぱいみたいです (2019年7月12日 13時) (レス) id: 31aa9c013b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:斗 | 作成日時:2019年5月8日 18時