▽mission:あむぴとデヱト?4 ページ5
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何故貴女はそう強情なんですかね…………と苦笑する声が聞こえて、空いていた方の手で手首を軽く握られる。
安室さんの手首を掴んだ右手がやんわりと離され、
「……これが正解ですよ、なんてね」
「………………??、???!?」
手のひらにほんのりとした熱を感じた。
それは私の頭を混乱させるには十分すぎる出来事で、声も出せず口をパクパクさせていればするりと指が絡め取られる。
「もう着きますから」
「や、えっ、……え?????お?????」
そのまま安室さんは歩き出した。
繋がれたその手は俗に言う恋人繋ぎというやつで、大絶賛混乱中の私は引きずられるままに付いていく。
見え始めた曲がり角に向かって進むほど潮の香りが強くなり、
「着きましたよ」
急に開けた視界に私は息を呑んだ。
予想した通りそこは海で、その向こうに広がるのはガラス玉を散りばめたような夜景。
家庭の灯火が、電車の流星が、ビルの光彩が、月光が。
柔らかな輝きを放って眼前に、水面に揺れている。
「………Aさん、意外とこういうの好きでしょう?」
呆然と見惚れていれば、いつかと同じ台詞が降ってきた。
手を握られているのも忘れ、隣にいる男を見上げる。
柔らかな光に照らされたその横顔は穏やかに微笑んでいて、その視線が向けられているのは彼の愛するこの国だ。
つられるように同じ方向を向けば、手を握る力が少し強くなったような気がした。
その手を少しだけ握り返す。
「……そ〜ですね、割と好きです」
「ふふ、………それはよかった」
安室透、29歳。
ポアロでアルバイトする自称私立探偵で、私の先輩。
日本を守る警察官、降谷零の持つ顔の一つでしかない彼の、ひと時の気休めくらいになれるのなら。
それは悪くないんじゃないかな、と思うのだ。
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ララ - この話を知ったのは去年ごろで、一度読んでとても面白くて何度か読み返しています! (2022年7月25日 14時) (レス) @page5 id: 6eb4cafdd2 (このIDを非表示/違反報告)
加奈(プロフ) - 何回も読み直してしまうほど面白くて大好きです!リクエストなんですけど夢主ちゃんが黒の組織に入る話が読みたいです、、、よろしくお願いします!! (2021年4月19日 10時) (レス) id: 6b571e8393 (このIDを非表示/違反報告)
神と名乗る凡人 - リクエストってここからでいいんですか? KIDを登場させてほしいです!!本当に好きなんです!! (2019年8月30日 1時) (レス) id: 5e8845cf1b (このIDを非表示/違反報告)
ヴァニタス(プロフ) - いつも楽しませてもらっています!風見さんと夢主を絡ませてください。ついでに、それに動揺している安室さんとかも書いてくれたら私が泣いて喜びます。よろしくお願いいたします! (2019年7月31日 2時) (レス) id: d17f0b1875 (このIDを非表示/違反報告)
salome(プロフ) - リクエストハロと夢主と安室の絡みを見たいハロの散歩や写真取りご飯時遊んでる時いっぱいみたいです (2019年7月12日 13時) (レス) id: 31aa9c013b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:斗 | 作成日時:2019年5月8日 18時