空に光る星 2

Would you marry me? ページ33

*



　ブブブブブ…

　早朝の携帯電話の震える音で浅い眠りから目が覚めた。

　羽生君からのメールだ。

〈見てくれた？〉

〈もちろん！史上最高記録だって！？おめでとう！〉

〈おめでとうは、まだ早いよ…〉

〈うん…明日もあるんだよね？〉

〈うん。明日もノーミスで頑張るよ！〉

〈緊張した？〉

〈うん…ちょっとだけ。でも、ちょっとだけだよ。〉

〈羽生君でも緊張するんだ…？〉

〈はぁ？ボクだって普通の人間だし…〉

〈ゴメンゴメン…〉

〈もし明日、金メダル取れたら〉

　メールはそこで終っていた。

　取れたら？

　その先に続く言葉はなんなのだろう？

〈取れたらなに・・・

　そう文字を打つ途中で電話の着信音が鳴った。

　羽生君からだった。

「A？メールじゃダメだと思ったんだ。」

「なに？なんのこと？」

「さっきのメールの続き！もし金メダル取れたらの続きだよ！」

「あぁ！―――取れたら？」

「うん。もし金メダル取れたら――――――Would you marry me?」

「え？―――うぃじゅめりみ？」

「あぁ、もう！！」

「なに？なんて言ったの？分かんない…」

「A――――――金メダルとれたら―――ボクと結婚してくれますか？」

　ビックリして心臓が止まりそうになった。

　羽生君から、そんな言葉聞けるなんて思わなかったから。

「返事は？」

「―――ヤダ！金メダルじゃなくても…うぃじゅ？うぃじゅめりぃ？み？」

「アハハ…酷い発音！」

「だって…」

「A、絶対、金メダルとって迎えに行くよ！待ってて！！」


　電話を切っても、しばらく眠れなかった。

　いつの間にか東の空が白み始め、暁の空に金星が光っているのが見えた。

　空に光る星よ、願いを叶えて。

　羽生君がソチの舞台で一番輝きますように―――



*

あの空に光る星のように―――→←101.45

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