第九訓 ページ9
「…そうか。なら、買い出しを頼もうかな」
「ほう。買い出しか」
「俺らだけでいいのかっ!?」
「鶴丸、楽しそうにしない。あんたを野放しにすると変なもの買ってくるから駄目」
Aはカタカタと画面上に食材や、あれば買ってきて欲しい資材などを打ち始める。
「安定を連れて行きなね」
「ええっ、あいつかい!?」
「あんたを止めるのにいい人材だろう」
「止めるというか脅しだろう。驚いたことに静かにするか首になるか選ばさせられるんだぜ？他にもっといい奴が…」
―――ﾊﾟﾁﾝｯ
打ち終えたのか、Aはくるりと二人の方へ身体を向けた。
「太郎と次郎にはこの後ご飯作ってもらわなきゃだし、小狐と山姥切と一振と五虎退、薬研は内番頑張ってくれてる。左文字たちは私の仕事を手伝ってくれてるし陸奥守と清光行かせたら悪化する」
端から可能性を否定されていく鶴丸は次第に口角がヒクつきはじめる。
「さて、他に君を止められる人は誰がいるのかな？」
「わ、わかったよ…安定と三人で行けばいいんだろう…」
「主がいるだろう」
「…は？」
諦めかけた鶴丸に助け舟を出したのは、三日月だった。
「これは、驚いたな」
三日月が助け舟を出したということも、主を連れて行くという考えのその両方に驚いたよう。
勿論、鶴丸だけでなくそれはAもそうだった。
「…いや、あのね、三日月」
「何か問題があるか？俺らだけで心もとないのなら、主がくればいい」
ほんわかとした空気の中に圧倒するような気迫もある。
Aは改めて思う。天下五剣と呼ばれる刀の、笑顔の怖さを。
いや、本人はただ笑っているつもりなのだろうが。
そこには有無を言わさぬ何かも、あった。
「…、分かったよ。確かに私がついていくのが一番安心だね」
「決まりだな。門口で待っていよう。準備が出来次第参ろうか」
「おい、じいさん待てって！」
いつの間にか攻守逆転だ。
「…こりゃあ、驚きだ」
鶴丸の口癖をなぞる。
苦笑したAはさて、と腰を上げる。
「これから楽しくなりそうだよ」
誰に言ったわけでもない、その言葉は宙に舞う。
ぱたぱたと準備を終えると、隣の部屋の清光に一言声をかけ、ふたりの待つ門へと向かった。
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黎奈(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます！！すごく面白かったです。完結お疲れ様でした！第四訓で宗三左文字が宗山左文字になっていらっしゃるのでご報告させていただきます。あと、ちょこちょこ報告に来るかもしれません… (2015年10月18日 22時) (
レス) id: 339ceb4b4b (このIDを非表示/違反報告)
華維璃(プロフ) - お疲れ様でした！とても面白かったです！小説の書き方、参考にさせて頂きます<(_ _)> (2015年9月22日 20時) (レス) id: 5dbf713d35 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - お疲れ様でした！ (2015年7月19日 17時) (レス) id: bbc5de6b90 (このIDを非表示/違反報告)
らい兎(プロフ) - 第三四訓の「突き出ているのは日本の大きな角。」というところもしかして日本→二本でしょうか？面白かったです。 (2015年7月13日 23時) (レス) id: 5d4b050560 (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - お疲れさまでした、面白かったです！宗近のじいちゃんが入手できないのが痛いですね。 (2015年7月10日 19時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：稜 | 作成日時：2015年4月10日 14時
