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第三三訓 ページ33

女は硬直する。
そう、だって自分も幼い頃は知っていたはずだった。

周りに本当の家族がいない孤独を。

それを埋めるように縋った男が、たまたま光儀であっただけで。

自分だけ背がのびて、自分だけ髪が伸びて。
それがどれだけ寂しい事か、悲しい事か。

知っていた、はずだった。

「……あの子は、私の事、何か言っていた?」

泣きそうな声で、それでも震える事はなく女は問う。
芯の強いところは母親譲りか、と誰もが思った。

「何も言ってないよ。ただ、信じたくなかった…って」

「清光くん、」

「あんたに名前を呼ばれたくない。…俺の主はAだけ」

「……」

何か、迷っているのだろうか。
女は徐に賽子を握る。

いつのまに、そこにあったのだろう。

岩融は何かに気づいたようで、女をそっとおろすと薙刀を手に立ち上がった。

「ああ、ああ!俺は長ったらしい話は大嫌いなんだよ。ラスボス登場、とでも言っておこうか」

「いわ、とおし……」

「ああいい、主はそこに居直っておれ。…あんたは何も考えず、俺に愛されておればいい」

岩融が立ち上がるとかなりの背丈があると、気づく。
太郎、次郎でさえ、少し見上げるほど。

「…いざ、参る!」

先手必勝。

駆け出したのは。

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設定タグ:刀剣乱舞 , 白崎稜 , 三日月宗近   
作品ジャンル:泣ける話
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黎奈(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます!!すごく面白かったです。完結お疲れ様でした!第四訓で宗三左文字が宗山左文字になっていらっしゃるのでご報告させていただきます。あと、ちょこちょこ報告に来るかもしれません… (2015年10月18日 22時) (レス) id: 339ceb4b4b (このIDを非表示/違反報告)
華維璃(プロフ) - お疲れ様でした!とても面白かったです!小説の書き方、参考にさせて頂きます<(_ _)> (2015年9月22日 20時) (レス) id: 5dbf713d35 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - お疲れ様でした! (2015年7月19日 17時) (レス) id: bbc5de6b90 (このIDを非表示/違反報告)
らい兎(プロフ) - 第三四訓の「突き出ているのは日本の大きな角。」というところもしかして日本→二本でしょうか?面白かったです。 (2015年7月13日 23時) (レス) id: 5d4b050560 (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - お疲れさまでした、面白かったです!宗近のじいちゃんが入手できないのが痛いですね。 (2015年7月10日 19時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年4月10日 14時

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