第三四訓 ページ34
「ガッハッハ！！そんなものか！所詮、あの小娘の手駒じゃなぁ」
一撃で、大きく振りかぶり、己自身…その刃を一振り。
言葉通り、薙いだ、その力。
「…圧倒的、か」
何より驚いたのは。
「…いわとおし、どういうことですか」
「力を得るためには、いたしかたあるまいよ。…俺は力のためならば手段など選ばん性でな」
「だからといって、何故そのような力を…！」
岩融の額から突き出ているのは二本の大きな角。
背中には骨を模したような、羽のような、炎のような。
そんな岩融の目は、黒く、赤く、青く。
燃えるように、例えるならば龍の如く。
「堕ちる、という寸前までいったお前らなら分かるか、三日月、小狐」
その姿は、まるで敵、歴史修正主義者のような。
ただ不思議なのは自我を保っているということ。
「神には神を！我が主は己と共に居るために神と成った！しかし神なれど俺は付喪神、主は俺より上級の神になど成れはせぬ。主はよってこの、賽子の付喪神と成り！俺は下級に下るため、この身を堕とした！…いっただろう、俺は手段を選ばない。俺は主を守るためならば何にでもなるさ。あんたらがあんたらの主のため、少ない手勢で、この俺のもとへ態々出向くのと同じように！」
刀剣が歴史修正主義者に堕ちるのは、歴史を改変してしまった時。もしくはそれに手を貸した時。
それほどの、想い、思いが必要なのだ。
「…なれば、あんたはもしや、その女と離れるのは」
山姥切の言葉に岩融は眉をあげる。
「…ああ。俺は主からそう遠くへ離れられん。もし、主が死んだその時、俺の想いは闇に飲まれ、完全な悪となるだろう」
瞬間、生まれた戸惑いと迷い。
女を殺せば岩融は死に、岩融を殺せば番の女は死ぬ。
どちらにしろ殺しに来たのだから、とも思うが…危惧しているのはその後の事。
岩融や女が死んだ後、完全に魂が抜け切った肉体が闇に飲まれた時。
「……でも俺、あんたの事許さないから。あんたらが死にかけて、ここが闇に飲まれて。…俺がもし巻き添えを食らったとしても、俺はあんたを殺す事をやめない」
皆が困ったようにしていた、それを断ち切ったの清光だ。
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黎奈(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます！！すごく面白かったです。完結お疲れ様でした！第四訓で宗三左文字が宗山左文字になっていらっしゃるのでご報告させていただきます。あと、ちょこちょこ報告に来るかもしれません… (2015年10月18日 22時) (
レス) id: 339ceb4b4b (このIDを非表示/違反報告)
華維璃(プロフ) - お疲れ様でした！とても面白かったです！小説の書き方、参考にさせて頂きます<(_ _)> (2015年9月22日 20時) (レス) id: 5dbf713d35 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - お疲れ様でした！ (2015年7月19日 17時) (レス) id: bbc5de6b90 (このIDを非表示/違反報告)
らい兎(プロフ) - 第三四訓の「突き出ているのは日本の大きな角。」というところもしかして日本→二本でしょうか？面白かったです。 (2015年7月13日 23時) (レス) id: 5d4b050560 (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - お疲れさまでした、面白かったです！宗近のじいちゃんが入手できないのが痛いですね。 (2015年7月10日 19時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：稜 | 作成日時：2015年4月10日 14時
