花解け【d!】 (ページ6)

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　あの日から数日、気になって生徒の話を盗み聞きすれば、エミさんは世界史の担当。中でも文化に偏った授業を受け持っているらしい。

　質問には丁寧に答えてくれて授業もわかりやすい。でも脱線もしやすくて、はにかみやさんでカワイイ。テストやレポートの不正には厳格な面を見せる。この間コピペレポートを出した生徒数人をまとめて不合格にしたらしい。容赦がない。

　それでもって――エミさん、イケメンで優良物件なのにヘタレだから“童貞”で“彼女なし(フリー)”なんだって。

　ああ、いらんことまで思い出しちゃった。もう最近の女の子たちってみんなああなの？そんな軽々しく口に出せる言葉かしら。私がカマトトぶってるだけ？いや絶対違う。最近の子が性に奔放すぎるだけで！

　そんなことを考えている間に、ぽつぽつと話しかけてくださるエミさん。

「最近は司書さんに場所尋ねても怪訝そうな顔されるから、教えてくれてありがたいです」

「……カウンター担当の子は小説とか童話とか、そっちが専門なんですよね」

「そうなんや。横に積んでる本がメルヘンやなあとは思ってたんです」

　似合いますもんね、彼女に童話。確かに同期の彼女は初対面から強烈だった。カワイイ話と恋愛の話が大好きで、お姫様と王子様みたいな恋愛が実在すると思ってるタイプの人間だ。

　性善説でも信じているのかというくらい人が好く、きっと詐欺に引っかかるタイプ。彼女みたいな人間がヒロインになるんだ、と思わせてくれるようなそんなタイプである。

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