柱の少女は、狙われ体質。弐

伍拾陸 ページ8

炭治郎が煉獄さんと話をしている。






『煉獄さん……私……何も出来なくて……ごめんなさい』




煉獄「いいんだ、A。君は強い。俺はAにたくさん救われた。もっと自分に自信を持て。」




「胸を張って生きろ」




その言葉が心に響く。きっと私の心に残り続ける。




『私、煉獄さんのこと、教わったたくさんのこと、絶対に忘れません。ずっと尊敬してました、大好きでした。煉獄さんの想いを継いで鬼をこの世から必ず滅してみせます……。みててくださいね？』





煉獄さんは私の言葉を聞き、小さく微笑んで、「あぁ、ありがとう」と言ってくれた。

煉獄さんが亡くなったのが分かって、私の声は意図せずだんだん小さくなった。

私たちはどうしてこんなに立派な人を喪ってしまうのだろう。









炭治郎は煉獄さんの亡骸の前でわんわんと泣いてしまった。


伊之助なんか「悔しくても泣くんじゃねぇ！」なんて言いながら被り物から涙が溢れている。









でも、伊之助の言うとおりだ。





『煉獄さんはとても尊敬できる人だった……。私もたくさんのことを教えて貰ったし、心から慕っていた……。』






煉獄さんの意志の強い大きな声。

強く、優しい心をもった彼の言葉をたくさん思い出す。

泣くんじゃねぇ、なんて言われても涙はどうしても出てしまう。





だけど……

そんな偉大な人を失っても……

私達は生きていかなかればならない。





そして、私には柱として炭治郎達を導く義務がある。煉獄さんのようにはできなくとも、彼に変わって私もやらなきゃいけない。


『私達は鬼殺隊。その誰もが鬼を斬ることに命をかける覚悟をしている。それでも私は何度も仲間が死んでいくのを見た。今も昔も、自分の無力さが悔しくてたまらない。

それでも……立ち止まってはいけない。悲しみに暮れる暇はないの……。

今の柱達もきっとみんな、家族や仲間を失った悔しさを糧に、血を吐くような努力を乗り越えて強さを手に入れたのだと思う。

悔しくて、悲しくてたまらないのなら努力をしなさい。

もう失いたくないのなら、強くなるしかないの……もちろん柱の私も例外じゃないけどね。』

炭治郎、伊之助、善逸はそれぞれ頷いた。




ねぇ、煉獄さん……

この子達が鬼殺隊の未来をになっているんですね。柱になるのかもしれませんね。

私は…あなたの分まで彼らの成長した姿を見届けますよ。

ちゃんと胸を張って、強く生き抜いて見せます。

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