肆拾 ページ40
夢主side
話……かぁ……
お説教だよね……
気が向かないけど、この約束すっぽかしたら一生口聞いてくれないかもしれないから行くしかない。
炭治郎達が着てるみたいな病人服を着るのはやめて、普段着の袴に着替えると、屋根の上に隊服姿の実弥を見つけた。
『遅れてごめん。話とは?』
実弥「薄々思っていたが、A、お前……鬼を憎んでいないだろ……」
『………。』
まさに図星。確かに実弥に本心を話していなかった。
だって普通鬼に幸せを奪われた人は鬼を憎むでしょ?
同じ鬼殺隊の柱が半端な気持ちで鬼を斬っているというのにいい気持ちはしないだろうと思ったから。
でも何で今さらそんなことを聞くのだろう。怒ったの?
『そうかもね……。鬼は嫌いだし、哀れだな生き物だと思ってる。でもその通り、憎くはないよ。』
実弥「そんで、お前は鬼を斬って共に死のうと思った。違うか?」
それも図星。
でも、実弥の真っ直ぐな目を見たら心にぐるぐると渦巻いていたものが溢れ出てきた。
『だって、私の愛する兄弟を殺したのは鬼じゃないもん。私自身だから。私にとって、鬼を憎むのは見当違い。
昔も今も私は罪人。
自分に対しての嫌悪感でおかしくなりそうなのをやっと堪えてるくらい。
……実弥には、私が鬼に喰われる兄妹を見殺しにしたとしか言っていなかったけど、
本当は私、見殺しどころか、背を向けて逃げたの。
怖くて、怖くて。
喰われる兄と怯える妹を置いて走って逃げたの…。…最低でしょう?気がついたら二人とももう死んでた。
それで、私は自分への怒りを抑えられなくなってどうしたと思う?鬼を殴ったんだよ。もう朝までずーっと。その鬼も可哀想だった。
挙句、私は死のうとした。罪の意識から解放されたくて、また逃げようとした。実弥がいなかったら私はあの時死んでいたよ。
私は罪を償うために鬼を斬るの。鬼を斬れば斬るだけ私の罪は少しずつ浄化される……。
実際は、そんな気になってるだけで何も変わっていないんだけどね。
でも、そうすることにも疲れちゃって……。鬼を斬って死んだら兄と妹も許してくれるかな、と思ったんだ。』
こんなに長々と私の過去を語ったのは初めて。
もう何年も前のことだけど、昨日の事のように鮮明に覚えている。
兄と妹を置いて一人で逃げた、あの時にフラッシュバックした。
私の最悪だった人生の分岐点。
気がつけば、涙を零していた。
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夜椿 - 無一郎と宇髄さんはどこから?それと嫌いな人に名前最悪な気分って名前を呼ばれると最悪な気分ってことですか? (6月23日 19時) (レス) @page48 id: 96ac4047c6 (このIDを非表示/違反報告)
むに(プロフ) - 無一郎と宇髄はどこから出てきたんですか…? (2021年8月19日 9時) (レス) id: 43a9ffe7c8 (このIDを非表示/違反報告)
なつこ(プロフ) - もしかして32抜けてませんか…?私が見れないだけでしょうか… (2020年11月14日 12時) (レス) id: 7911c797b0 (このIDを非表示/違反報告)
さやか(プロフ) - 役立たずが毎回役立つになってます! (2020年3月1日 8時) (レス) id: a067a5e9c1 (このIDを非表示/違反報告)
わさびのり(プロフ) - やっぱりですか!?谷崎さん笑面白いです!ゆっくりでいいんで頑張ってくださいっ! (2020年2月26日 20時) (レス) id: 5cca7cd247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なるは。 | 作成日時:2020年2月8日 18時