ep11 ページ11
side.inoo
走って家まで行こうかと思ったけど、体力がない俺はすぐに歩き出してしまう。それ以前にここがどこが分からない。いつも電車だからかな。いや、それにしても知らないところだ。
高木、変な道から来たんじゃないのか?
あーむかつく。なんであんなチャラ男のせいでこんな目に。
とりあえずどこかの駅か大通りに出たい。
.
「………これはやばいな。」
大通りに出ようとして彷徨い続けているうちに辺りは真っ暗に。こんなつもりじゃなかったんだけど。学校と家の間で迷子って俺は子供かよ……。
携帯の地図でも見てみようか。地図とか見るの苦手だけどないよりマシか。
げ……。
電池切れ。
最悪。いつも大事なところでついてないんだよな、俺。
「あーーーーどうっすかなーーー。」
1人で大きな声を出していると、
ザッザッ
後ろで足音がしたような気がして振り返る。誰もいない。
こえーよ。
よく見るとここ細い道だし人影もないし、真っ暗で怖いな。急に寒気がしてきた。早くここから抜けよう。
ザッザッ
やっぱり後ろから足音聞こえる。気のせいじゃない。でももう怖くて振り返れない。
早歩きにしてみる。
後ろの人も早歩きになる。
「ねぇ、お嬢ちゃん。」
肩に手をかけられて声をかけられる。
「は、はい。」
恐る恐る振り返ると40歳くらいのおじさんがいた。
え?お嬢ちゃん?
「いや、あの、俺男なんですけど。」
「何冗談言ってんの〜。今1人?こんな暗いところに一人で可哀想でちゅね〜。おじさんが遊んであげますよ〜」
このおっさん、酔ってるの?
そんなことを思って油断しているときに正面からガバッと抱きしめられる。
「うわっ、酒くさ!」
ずっしり体重をかけられて後ろに倒れそうになるが幸いにも後ろは壁。でも重い、酒臭い、気持ち悪い……。
「あの誰と勘違いしてるのか知らないんですけど……ってひっ!」
抱きついてる手が下に下がってお尻を触ってくる。
やだ、怖い、怖いよ。
逃げようと思ってもこいつなかなか力が強くて身動きが取れない。
なんでこんなおっさんに襲われなきゃいけないんだよ。
なんで俺がこんな目に合うんだよ。
「もう!!!高木のばか!!!!」
全部、全部あいつのせいだ。
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作者名:みはる | 作成日時:2016年9月1日 23時