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ep12 ページ12

side.takaki









「伊野尾くーん、伊野尾くんごめんね〜!出てきて〜早くかえろ!」




バイクから降りて逃げてしまった伊野尾くんを探し続けてしばらく時間が経った。




ちょっとからかっただけで怒って逃げてっちゃった伊野尾くんって意外と純情なのかも。




逃げたって伊野尾くんとデートでもしようと思って海に連れてくつもりだったから道も分かんないだろうし。てか俺伊野尾くんの家知らないから送ってけるわけないのに。







.








「もう!!!高木のばか!!!!」






伊野尾くんの叫ぶ声が聞こえて伊野尾くんって独り言でも俺のこと嫌ってんのかと思いながらその声の聞こえる方に向かう。





「やめろって!やめてください!……うぅっ、」





あれ?なんか様子が違う。伊野尾くん泣いてるみたいだし、ひとりじゃない?声の方へ向かう足が足が早くなる。







迷路みたいな細い道の曲がり角を曲がるとそこにいたのは気持ちの悪いおっさんとそのおっさんに手を掴まれてまさにキスされる寸前な伊野尾くん。









気付けばもう足は動いててそのおっさんに殴りかかってた。何度も何度も殴ってた。







「…た、たかき!もういいから!」




後ろから伊野尾くんに抱きつかれて、まだ怒りは収まらないけど殴るのはやめた。




すぐに立ち上がって鼻血を出してるおっさんはさっさと逃げてった。






「こ、怖かった」





伊野尾くんはその場にへなへなと座り込んでしまった。






「伊野尾くん!大丈夫?」




しゃがみこんで目を合わせると目に涙を浮かばせてる。





「高木のせいだから……ばか………。」





目を赤くして俺を睨む伊野尾くん。






……この人は誰かが守ってあげなきゃいけない人なのかもな。







「大丈夫、大丈夫。もう俺がいるから。」





伊野尾くんを包み込むようにして抱き締める。また突き飛ばされるかなと思ったけど今日は黙って抱かれてる。



ちょっと小刻みに震えてるし。本当に怖かったんだな。あのおっさん、今度見つけたらただじゃおかねぇ。




伊野尾くんを安心させるために頭をポンポンと叩く。




その手を伊野尾くんにはたかれる。




「子供扱いすんな。」





泣いてる時もやっぱり毒舌。涙声でそんなこと言われても全然怖くないけど。






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作者名:みはる | 作成日時:2016年9月1日 23時

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