【企画本編】絶望onステージ!!2nd Stage

2.紅愛のカクゴ ページ37

◆



リビングのテレビをつける。
朝のニュースは、人気芸能人の結婚報道で持ち切りだ。

数日前までしつこく放送されていたのに、今日は一言も触れられなかった。関心の賞味期限が切れてしまったのだろう。

7人がいなくなったところで、世界は変わらない。
世界にとっては小さな出来事でしかないのだ。

そんなことを日々、実感させられる。


女子高生アイドルが7人も亡くなった事件は、世間にとっても衝撃的な出来事だったようで、当初はトップニュースとして取り上げられていた。

皮肉にも+Petalの知名度は飛躍した。

もう主のいないSNSのアカウントのフォロワーは増えていたし、動画サイトの再生数も倍に伸びた。そのコメント欄は、空っぽの「ご冥福をお祈りします」で埋まっていた。私達のことなんて何も知らないくせに。


クロのことはもちろん、元凶となった茜のことも許せなかった。
でも、彼女の気持ちが解ってしまう自分もいることが嫌だった。


様々な思いを抱えたままで、時間は刻々と過ぎていく。気づいたときには形だけの日常が戻って来ていた。

時間は止まってはくれない。


このまま、+Petalの存在は忘れられてしまう？


そんなのは絶対に駄目だ。


残された私達にできること。
それは、アイドルとして有名になることだと思った。

+Petalも出演するはずだったIdol♡Festivalの映像を何気なく見る。ステージに立つアイドル達はキラキラと眩しいくらいに輝いていた。皆でここに立てたらどんなに良かっただろうか。


そして私は心に決めた。


「貴方たちの分も未来とともに精一杯アイドルを続けるわ」

「それが、残された私たち…貴方たちを助けることができなかった私たちにできるせめてもの償いだもの」



◆

3.未来のミライ→←1.後日譚

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す