花笑み Ⅲ (ページ2)

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ジュージューと焼けていた音が収まり、
カチャカチャとお皿がぶつかる音に変わった。

手際よくお皿に料理を盛るダテの姿が、
容易に想像できる。

dt『なぁ？翔太』

そうか。

お皿がぶつかる音も、
お皿をテーブルに置いたらしい音も、

確かに言われてみれば２つ聞こえた気がする。

「しょっぴーもおったん？」

dt『あぁ。
　康二と同じで、

　ずっと悩んでるみたいだったから』

「一緒やね。」

しょっぴーもダテの言葉を聞いていたみたいだ。

ゴールは変わらない。
この事実はきっと覆らない。

悩んでも、泣いても、嘆いても。

「ダテ、ありがとうな」

だったらせめて、
俺たちだけの正解を見つけたいと思う。

普段、阿部ちゃんがクイズ番組で答えるような、
絶対的な揺るがない正解はないけれど、

だからこそ、それを彼自身が見失わないように、
俺たちが、正解になり続ける。

できることはすべてやる。
後悔だけはしないように。

「また料理作ってや」

dt『おう、任せろ』

電話を切ると、俺は心を切り替えて、
自分に何ができるかを考え始めた。

やりたいこと、話したいことは、
まだたくさんあった。

楽しいことだけ、
みんなの笑顔だけを想像する。

まだ時間はあるじゃないか。

ダテに整理してもらった心は、
まっすぐ前を向いていた。