episode_6 ページ6
放課後。
つむぎ「Aちゃーん!」
この声は……。
少し前の嫌な記憶が蘇る。
零お兄ちゃんと私を見間違えた上に最初から距離感がやけに近いあの先輩……。
つむぎ「Aちゃん、お疲れ様です!いやぁ、今日も零くんにそっくりですね〜」
「あはは、ありがとうございます、青葉……先輩……」
つむぎ「俺の名前覚えててくれたんですね!嬉しいな〜、ありがとうございます!」
嬉しそうに笑う彼は、胸に大量の資料を抱えている。
「それは……?」
つむぎ「あぁ、これは、図書委員のお仕事ですよ。これから一人寂しく蔵書整理です♪」
何故嬉しそうに言うのかは分からなかった。
それにしても持つのも一苦労であろうその資料の数からして、一人でできる仕事なのだろうか。
まぁ私には関係ないけど。
「蔵書整理、頑張ってください。私はこれで……」
つむぎ「はい、気を付けて帰ってくださいね〜」
こんなにも不親切な私に優しい笑顔で手を振ってくれる。
彼は本当に優しいのか、裏があるのか……なんて考えていると、後ろの方からどん、と大きな音がした。
つむぎ「すみません、すみません……」
生徒「ちゃんと前見て歩けよ」
振り返ると尻もちをついた青葉先輩と、それを見下している男の人。
ぶつかってしまったのだろうか。
男の人は散らばった資料を蹴飛ばし、そのままどこかに行ってしまった。
感じが悪い。
青葉先輩は何か言い返すこともなく、ただただ謝っていた。
「先輩、手伝います」
つむぎ「Aちゃん……!ありがとうございます♪」
結局、手伝ってしまった。
後にこれが、今後の学院生活を大きく左右することになるとは知らずに……。
336人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はなえ | 作成日時:2022年4月23日 0時