【あんスタ】朔間兄弟の妹 (ページ5)

今日:19 hit、昨日:8 hit、合計:23,611 hit

episode_5 ページ5

花びら混じりの優しい風が頬を撫でる。
春らしい暖かい太陽は、私の体力を奪っていく。

「もう…無理……」

二人の兄と同じく日差しに弱い私は、木陰に避難する。
柔らかい芝の上にぐったりと横たわってしまう。
ここはあまり人も通らなくて静かだし、しばらくここで休もう。

どこかでレッスンしているのだろうか。穏やかで、心地良い歌声が聞こえてくる。
暖かい風が相まってこのまま眠ってしまいそうだ。

……………………

どれくらい時間が経っただろうか。
気がついたら陽は傾き、冷たい風が吹き始めていた。

猫「にゃー」

「猫…？」

私にそっと寄り添うように1匹の猫が隣に寝転んでいた。
撫でてあげると気持ちよさそうに喉をゴロゴロと鳴らし、ふわぁ〜っと大きな欠伸をした。

「可愛い…♪」

なんだか凛月お兄ちゃんに似ている気がする。
野良猫だろうか？それにしてと人懐っこい。

レオ「おっ、リトル・ジョン！こんなところにいたんだな！」

突然現れた小柄な男の子は『リトル・ジョン』を抱き上げる。

レオ「お昼寝してたのか～そっか～♪…ところでお前、始めて見る顔だな。誰だ？」

子供のように純粋な瞳がこちらを見つめる。

「私は…」

泉「あ、いた！」

名乗ろうとした瞬間、焦りと苛立ちを抑えられない様子の男の人が現れた。

泉「探してたんだからねぇ？今日は一緒にレッスンするって約束してたでしょ～？まったくもう…」

レオ「お、セナ！そんなに怒るなよ～。綺麗な顔が台無しだぞ！」

泉「誰が怒らせたんだっての。いつもすぐどっか行っちゃうんだから。ほら行くよ？」

怒った顔の『セナ』さんはオレンジの彼を引っ張って足早に去って行った。

不思議な瞳だった。この腐敗してしまった夢ノ咲学院にもあんな純粋な目をしている人がまだいたのかと、少し嬉しくなった。
なんとなく、これから何かが変わるような気がして、しばらく彼らのことが頭から離れなかった。