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それから色々あって(詳しいことは省くけれどハンジさんがぼろぼろ泣きながらリヴァイさんに殴りかかって返り討ちにされていたりモブリットさんに撫でられたり。そういえばモブリットさんと直接関わるのはこれが初であった。彼は何かと苦労しそうな顔をしている)、何とか収まって、総統の執務室。右隣にはエルヴィンさん、左隣にはリヴァイさんがいて、鎖を持っている。ここに来るまでに傷は半分くらい癒えていた(但しリヴァイさんによる傷はまだ痛い)。呼び出されて何事かと思えば、総統にエルヴィンさんリヴァイさんが小言を言われているという何ともシュールな展開だった。だって、想像してみて欲しい。あのエルヴィン･スミスさんが、紳士な顔して実は悪い感じの、下剋上万歳感満載な方と、人の忠告も何もかも聞かなさそうな横暴なリヴァイさんが！でもリヴァイさんに至っては腕組みして叱られる態度ではないけれど。
｢あんな街中で立体機動装置を使うとはどういうことか分かってやったのか?｣
｢うるせえな……仕方ねえだろこいつが逃げるんだからよ｣
まさかの責任転嫁ですか。いやいやいや。あの時に関しても悪いのは私なのか?違うでしょう、突然襲い掛かられたら逃げるでしょう。
｢全く……君は相変わらず｣
｢ふん｣
｢A、リヴァイに酷いことされたらすぐ私に言いなさい｣
彼にとって鎖で繋がれ監視されるというのは酷いことにカウントされないそうだ。了解。
｢……不満たらたらって感じかなA｣
｢いいえ｣
｢不満があるんだろう?｣
｢ないですよ｣
｢実は?｣
｢しつこいですね｣
｢殺してほしかったか?イヴリア卿に｣
それは、まあ
｢切実に｣
それを聞いて総統は口元に笑みを浮かべた。
視線を逸らし、彼の後ろの窓に目を向ける。外よりも部屋の方が明るいから、窓硝子に写るのは自分の姿。両隣の二人に比べて何と小汚く貧相か。そりゃあ、一般人と兵士の違いもあるだろうけれど。改めて見ると、右頬の腫れ具合は相当なものだった。明日には治るだろうけれど。こんなに痕が残っているのは初めてだ。
｢A｣
総統に視線を戻す。そして、彼は私に魔法の言葉を掛けた。呪いの言葉を。
独特な甘ったるい匂い。ぱちぱちと燃える音。暖炉の光と、暖かさ。放り投げられた金糸。腹に残る温もり。女性としては低めの落ち着いた声。細いくせに強い力で抱き締めてくる腕前を今感じる。
ようやく、今朝の夢を思い出した。あの夢は
｢生き延びなさい｣
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作者名：英 | 作成日時：2017年10月5日 21時
