36. 嘘で固めたわたし ページ37
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「ここ、利恵さんがオススメしてくれたんだよ」
『すてきなお店だね』
東京の夜景が一望できる、高層ビルのレストラン。
あれから天馬くんとショッピングをしながら街を歩いて、予約の時間になったからここへ来たんだけど…
今日のために新品のヒールを履いたせいか、少し前からかかとが靴ずれを起こしていた。
「…よいしょっ、と」
『天馬くん？』
「お行儀わるいけど、気持ちいいよ。Aも試してみたら？」
靴ずれに気づいてくれた天馬くんが、テーブルの下でこっそりと靴を脱ぐ。
私だけが恥ずかしくならないようにって、そうしてくれるところがほんとに優しくて…
また胸の奥が、穏やかに、ときめいていく。
「ね？ 楽になったでしょ？」
『うん』
少し汗ばんでいた爪先に、すぅーっと風があたって気持ちいい。
天馬くんはいつも、私を笑顔にしてくれる。
そう思っていると、向こうに座っている赤ちゃん連れの親子の席で、赤ちゃんが泣き始めた。
「馳様、ＶＩＰルームのご用意ができました。そこでしたら、静かにお食事を楽しめるかと…」
「そう…。あのテーブルのご家族を、ＶＩＰルームへ」
「え？」
「個室なら、赤ちゃんもあのお母さんも気が休まるだろうから」
昔から、こういう天馬くんが大好き。
困ったひとにサッと手を伸ばして、周りの空気をやわらかくする。
それはきっと…、彼に嘘がないから。
自分を偽ることなく、まっすぐだから。
天馬くんは私の秘密を知っても、そばにいてくれるかな。
それとも…、
“ ひっでえ、人生だな。親に捨てられるとか…悲惨すぎ ”
あいつみたいに…、冷たく突き放すのかな。
「…どうかした？」
『う、ううん…なんでもないよ』
「そっか。いま一瞬だけ、Aも僕と同じ気持ちなのかなぁって…期待した」
『え？』
「こんなふうにAが目の前にいるって、やっぱりまだ実感わかなくてさ……夢みたいで、実は今日ずっとソワソワしてる」
そんなふうにイタズラっぽく笑う天馬くんは、どこまでもまっすぐで…
こんな自分が、惨めになる。
私が勝手にＮＹに行ったこと、どうして責めないんだろう。
本当は、留学のためなんかじゃなかった。
私を捨てた親の顔を、そんな親の顔なんかを…、一目でも見たかったから。
天馬くんと違って、私の周りは…
嘘で溢れてる。
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I(プロフ) - さくらさん» 「晴」と設定してお読みいただけますでしょうか？(>_<)よろしくお願いいたします。 (2018年6月14日 12時) (
レス) id: 020c5bbf85 (このIDを非表示/違反報告)
I(プロフ) - さくらさん» さくらさん、コメントありがとうございます。こちらは説明文にも記載してあるのですが、山��賢人くんver.としてお楽しみいただけるようにしています。ですが、ドラマ通りお読みいただくことも可能にしているので、お手数ですが、お名前設定の下にある登場人物設定から (2018年6月14日 12時) (レス) id: 020c5bbf85 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - あのー、神楽木晴人ですよ？名前。賢人じゃないです (2018年6月14日 3時) (レス) id: 24a23918d3 (このIDを非表示/違反報告)
I(プロフ) - 美紀さん» 美紀さんありがとうございます！！嬉しすぎてニヤニヤしすぎて涙がでました…。楽しんでいただけるよう更新がんばります！ (2018年5月23日 17時) (レス) id: 020c5bbf85 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 花のち晴れ大好きですこの小説最高です (2018年5月23日 17時) (レス) id: 39e38305d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：I
| 作成日時：2018年5月14日 17時
