214. 三番勝負開始！ ページ37
.
いよいよ、武道大会当日。
私は英徳の制服に腕を通して、お兄ちゃんと利恵さんと会場へ向かった。
桃乃園の応援席に着くと、当然のように真っ白な制服で埋めつくされていて、たくさんの噂話が聞こえてくる。
「婚約者の花沢 Aじゃない？」
「え、隣の人すごくカッコいい！」
中にはお兄ちゃんの噂をする声も聞こえてくるけど、確かに私はひとりだけ場違いだ。
「A、私服で来ればよかったね」
『大丈夫だよ、お兄ちゃん。どんな服を着ていても、気持ちが一番だから』
「…その通り。さすが、Aさんだ。今日は一緒に馳さんの応援、頑張りましょうね」
『ええ…』
どこからともなく現れた近衛くんに、正直まだ体が強張る。
だけど、私はもうこの人には負けない。
「あいつ、誰？」
『……私が負けちゃいけない人』
「……？」
「あら、神楽木さんだわ」
不思議がるお兄ちゃんに笑いかけると、利恵さんがここから遠く離れた特別席に賢人のお父さんを見つけた。
その横には、英徳の制服を着たメグリンがいる。
「ただいまより、神楽木 賢人くんと馳 天馬くんの武道三種交流試合を開始致します」
司会の方の掛け声に、会場に拍手が沸き起こる。
交流試合は３日間かけて開催。三番勝負で先に二番、勝利を飾ったほうが勝ちだ。
「本日の第一回戦は、柔道です。それでは、選手入場です。英徳学園、神楽木 賢人くん」
桃乃園に比べて、英徳の生徒は半分以下の数だ。
それでも賢人が扉から登場すると、向かい側の英徳の応援席から神楽木コールが始まった。
そんなとき、ふと賢人と目が合ったような気がした。
「続きまして。桃乃園学院、馳 天馬くん」
天馬くんが颯爽と会場へ入ってくる。
……私は、天馬くんを応援する。
畳の上で二人が向き合うと、審判の開始の声が響いた。
「始め！！」
開始早々、天馬くんが先に賢人の柔道着の襟をつかむ。
そんな天馬くんに抵抗するも、賢人はあっというまに足をかけられ、手をついて床に投げられた。
「勝者、馳 天馬くん！！！」
…よかった。これでまずは天馬くんの１勝だ。
拍手をしていると、利恵さんが異変に気づいた。
「ねえ、様子が変じゃない？」
未だに床に倒れこんだまま、動かない賢人に不安が募っていく。
え……、賢人？
2018.0708. EP10
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 400人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
A(プロフ) - おもしろかったです！続き楽しみにしてます (2022年4月14日 22時) (
レス) @page38 id: c5820b78bf (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - すごく続きが気になります！！完結までみたいです！！更新待ってます♪ (2020年4月3日 3時) (レス) id: 1647bd3009 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - はじめまして！読ませていただきました。とても面白くて、続きがすごく気になります！ぜひ、完結させて下さい！オリジナルの最後を見てみたいです^_^お忙しいとは思いますが、更新頑張ってください！楽しみに待ってます！！ (2019年4月3日 21時) (レス) id: 36a4111e18 (このIDを非表示/違反報告)
kmgapsy03(プロフ) - 続き早く読みたいです！楽しみにしてます！ (2018年11月13日 17時) (レス) id: 52aa0c32e7 (このIDを非表示/違反報告)
いぎ(プロフ) - 続き楽しみにしています！！！！ (2018年11月6日 10時) (レス) id: 71787ff6cd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：I
| 作成日時：2018年6月20日 3時
