196. 今さら気づくなんて ページ18
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後ろから感じる温もりが、そばで聞こえる息遣いが。心臓をうるさくさせる。
こんなこと、あっていいわけないのに。
私たちは、もう友達なのに…。
どうして？
このままでいたい、なんて思うの…？
「……え、」
『天馬くん………あのねっ、違うのっ。これは賢人が悪ふざけして…！』
走って私を探していたのか、息切れしている天馬くんが私たちを驚いた目で見つめる。
首に回っている両腕から離れようとするけど、賢人はなぜか離してくれない。
『ねえ、ちょっやめてってば…』
「……やめない」
『え…？』
「取られるぞ？ お前がちゃんとAを捕まえとかないとな……誰かにあっというまに取られるぞ」
「何を言ってる…」
「余裕ぶっこいてすかしてないで、こいつを一番に考えろよっ」
…わかったな？ そう言うと、賢人はようやく私を離した。
だけど天馬くんを睨みつけるその目は真剣で、好きだと伝えてくれたあの瞬間と思わず重ねてしまう。
ううん、違う。賢人はもう、メグリンと…
「じゃあな、A」
黙ったまま見つめる私に、それ以上何も言わず。賢人は帰って行った。
「Aを襲った犯人は、必ず見つけだす」
『え…？』
「Aを信じてないわけじゃないんだ。ただ、近衛も僕にとって……大切な仲間だから」
A、行こ？ そう優しく私の手をとって歩きだす天馬くんに、頷くしかなかった。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
『ただいま、藤岡』
「先ほど、馳様がいらしたのですが…」
『今まで一緒にいたよ。ちょっと着替えてくるね』
家に着いても、落ち着かない心の中。
天馬くんらしい答えだ、って思った。
まっすぐで、優しくて、正しい。けど…
あいつがくれた金の豚をポケットから取りだす。
“ 一択だろっ。好きな女の言ってること信じなくてどうすんだよっ！ ”
けど、私がほしかったのは、正しさなんかじゃない。
正しさなんて、わからなくたって。
あいつみたいに、まっすぐに信じてほしかった。
賢人は……、私を信じてくれた。
“ ……１分だけ、”
また、うるさいほどに胸が高鳴る。
本当は、あのまま離してほしくなかった。
あの力強い腕の中に、いつまでもいたいと思った。
近くで触れていた息が、まだ耳元に残ってる。
やっぱり私、あいつのことが……
ねえ、どうして。
どうして今さら、気づくの…？
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A(プロフ) - おもしろかったです！続き楽しみにしてます (2022年4月14日 22時) (
レス) @page38 id: c5820b78bf (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - すごく続きが気になります！！完結までみたいです！！更新待ってます♪ (2020年4月3日 3時) (レス) id: 1647bd3009 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - はじめまして！読ませていただきました。とても面白くて、続きがすごく気になります！ぜひ、完結させて下さい！オリジナルの最後を見てみたいです^_^お忙しいとは思いますが、更新頑張ってください！楽しみに待ってます！！ (2019年4月3日 21時) (レス) id: 36a4111e18 (このIDを非表示/違反報告)
kmgapsy03(プロフ) - 続き早く読みたいです！楽しみにしてます！ (2018年11月13日 17時) (レス) id: 52aa0c32e7 (このIDを非表示/違反報告)
いぎ(プロフ) - 続き楽しみにしています！！！！ (2018年11月6日 10時) (レス) id: 71787ff6cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：I
| 作成日時：2018年6月20日 3時
