195. このままお前と ページ17
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Aの泣き顔が、怒った顔が、頭に焼きついて離れない。
「あんな男の言うこと、馳さんが気にすることないです」
『……どうしてあいつなんだろ』
「え？」
『Aの気持ちがなんでも分かるのは、僕じゃなくて……どうして神楽木なんだろ』
僕がいつだってそばにいたいのに。僕が一番、Aのことを分かってるはずだったのに。
車の中から窓の外をぼーっと見ていると、ふと花屋さんの前に、母さんが好きだった花が置いてあった。
一瞬でよみがえる、あの日の記憶。
『……ごめん、もう大丈夫』
「ずっと天馬くんのそばにいるから。私だけは、味方だからね」
母さんが死んだ日。悲しみに暮れる僕の手を、Aは隣でいつまでも握ってくれていた。
大丈夫だと強がった心さえ、小さな手で包んでくれた。
止めたはずの涙が、ひどく優しいその温もりに溢れて、僕は泣きつくしたんだ。
『近衛、このまま先に帰ってくれ』
僕は、あの場を離れるべきじゃなかった。
Aが味方でいてくれたように、僕もAの味方でいるべきだった。
だから、今すぐ。
今すぐAのところに行って、伝えるんだ。
「…馳様？」
『はぁっ…、こんばんは……あの、Aは…？』
「どうなさいましたか？ お嬢様はまだご帰宅されていま…」
藤岡さんの答えを聞き終わる前に、また僕は走りだした。
「賢人、」
『ん？』
「もうここで大丈夫」
『でも…』
「いいから。メグリンには、明日私からも謝っておく」
『…おう』
じゃあ、そう言ってひとりで帰って行く背中が少し離れて、急に振り返った。
…なんだ？
「信じてくれてありがと。嬉しかった。さっき、賢人がいてくれてよかった」
「じゃあ、また明日ね」
Aの笑った顔に、心の奥に無理くり閉まいこんでいた気持ちが、扉を開けはじめる。
……やっぱり、俺がお前を笑わせてやりたい。
気づけば俺はその背中を追いかけ、後ろからAを抱きしめていた。
『…A、』
“ ぎゅ…”
「賢人……ちょ、なにしてんの…」
『……１分だけ、』
戸惑うAを、さらにきつく抱きしめる。
１分だけでいい。
このまま、俺の腕の中にいろ…。
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A(プロフ) - おもしろかったです！続き楽しみにしてます (2022年4月14日 22時) (
レス) @page38 id: c5820b78bf (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - すごく続きが気になります！！完結までみたいです！！更新待ってます♪ (2020年4月3日 3時) (レス) id: 1647bd3009 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - はじめまして！読ませていただきました。とても面白くて、続きがすごく気になります！ぜひ、完結させて下さい！オリジナルの最後を見てみたいです^_^お忙しいとは思いますが、更新頑張ってください！楽しみに待ってます！！ (2019年4月3日 21時) (レス) id: 36a4111e18 (このIDを非表示/違反報告)
kmgapsy03(プロフ) - 続き早く読みたいです！楽しみにしてます！ (2018年11月13日 17時) (レス) id: 52aa0c32e7 (このIDを非表示/違反報告)
いぎ(プロフ) - 続き楽しみにしています！！！！ (2018年11月6日 10時) (レス) id: 71787ff6cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：I
| 作成日時：2018年6月20日 3時
