173. 大人になったね ページ39
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「つーか、連絡先教えろよ」
『え、なに急に。名前の次は連絡先?』
「別に友達なんだから連絡先くらいいだろ」
『え〜、やだよ…』
「はぁ? お前どんだけケチなんだよっ」
『だって学校以外で、とくに話すことなんてないし…』
なんか理由もなく、暇つぶしに電話かけてきそうだし…。
「またなんかあったら俺にすぐ話せばいいだろ。お前なら特別、24時間いつでもOKだ」
『ぷっ…ははっ、コンビニみたい』
「わ、笑うんじゃねえっ」
『ふふ、だって……友達になったら特別に許してもらえることいっぱいあるんだなぁって』
「別に誰でもじゃねえし…。お前だから特別なんだよ」
特別って言われると、なんだか途端に恥ずかしくなる。
まぁ、私も男友達なんて神楽木が初めてだから、そういう意味では特別か。
「と、とりあえず今すぐ友達追加しろ!」
『だからなんでそんな上から目線なの…』
呆れながらも、LINEのQRコードを読み取り追加すると、神楽木のアイコンが出てきた。
うわ、これ司くんのお家の階段で私が撮ってあげたときのだ…。
さすが、道明寺教信者。
「これ、馳に撮ってもらったのか?」
『ううん、お兄ちゃんが撮ってくれた』
「は、花沢さんが!?」
『え、そんな驚く?』
「いや…、馳の前で見せる顔となんか似てっからよ」
『あー…たぶん、天馬くんがお兄ちゃんに似てるからかな?』
「はぁ? なんだそれ」
私のアイコンの写真は、誕生日パーティーのときにお兄ちゃんが撮ってくれたドレス姿のときのものだ。
『私ね、天馬くんと出会うまではお兄ちゃんと結婚するのが夢だったの』
「お前、ブラコンだったんだな…」
『だって、世界でいちばん大好きなひとだもん』
「…ぷっ、馳でも勝てねえもんあんじゃねえか」
突然、勝ち誇ったように笑う横顔に首をかしげていると、神楽木は立ち上がった。
「まぁ、とにかく。いつでも連絡してこいよ? …じゃあな」
その後ろ姿が、急に大人びて見えて。頼もしく、見えて。
気づけば私は、この一言を伝えていた。
『……賢人っ』
「え…?」
『ありがと。あんた最高の友達だね」
「ふっ…、おめえもな」
振り返った顔がやさしく笑う。今度こそ手を上げて、神楽木は校内へと戻って行った。
あんなに大嫌いだったのに、ありがとうって言って笑い合える日が来るなんて。
私たち、大人になったんだね。
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I(プロフ) - ねここさん» ねここさーん!またお話できて嬉しいですっっ。毎日来てくださりありがとうございます☆ …私と好みの相性がバッチリですね(笑)これからも、ねここさんが楽しんでもらえるよう書いていきます!またお話しましょう♪ (2018年6月17日 2時) (レス) id: 020c5bbf85 (このIDを非表示/違反報告)
ねここ - 神楽木と花沢類がだいっすきなので最高です><ほんとこの小説大好きです!(*^^*) (2018年6月16日 22時) (レス) id: a4296a5a43 (このIDを非表示/違反報告)
ねここ - やばーい!はやく続きが読みたいです\(^o^)/前にはじめまして!でコメントさせていただいたものです!(笑)毎日みにきてます!(笑) (2018年6月16日 22時) (レス) id: a4296a5a43 (このIDを非表示/違反報告)
I(プロフ) - おもちさん» おもちさん、読んでくださりありがとうございます!!毎日楽しみに待ってくださるだけでも嬉しいのに、こうしてお話できるなんてとっても幸せです(*^o^*) 読みやすいように構成には一番気を遣っているので褒めてもらえて、すごくパワーもらえました!頑張ります! (2018年6月13日 23時) (レス) id: 020c5bbf85 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - お話の構成が上手で読んでいてとても面白いです。毎日密かに更新を楽しみにしています(笑) (2018年6月13日 20時) (レス) id: 20265c6f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:I | 作成日時:2018年6月8日 22時