168. わるくない距離感 ページ34
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つまんなそう、なんて神楽木は言ったけど、映画は感動的な物語で最後は泣いてしまった。
でもあのシーンで神楽木が驚きすぎて、ポップコーンこぼしたのは笑っちゃったなぁ。
思い出し笑いをしそうになりながらも、お店へと入る。
映画を観たあと私たちは、カキ氷を食べに来た。
「…おいっ! なんだこの、毒々しい食べ物はっ」
『だから、カキ氷だって。さっきメロンのかき氷頼んだでしょ?』
「てっきり、凍ったメロンが来るのかとばかり…」
『なんでそうなるのよ…』
運ばれてきた山盛りのかき氷を見て、向かいに座る神楽木は怯えたように目を見開いている。
毒々しい、って……ちゃんと食べ物なんですけど。
「食べてみなよ、おいしいから」
「よし、じゃあ…食うぞ」
“ パクっ…”
『……?』
「……悪くねえな、」
『でた〜! 悪くねえ』
「でた?」
『神楽木にとって、悪くねえは美味しいってことだから』
首をかしげたメグリンに説明をする。
素直においしい、って言えばいいのにほんとわかりづらいんだから…。
「おい、変なこと教えんじゃねえよっ。つーか、賢人って呼べっつったろ!」
『いや、昨日もう呼んだでしょ』
「そういう意味じゃねえ!…ってお前どうした、その舌っ」
『…え? ぁ、これ?』
「舌が、変な色してんぞっ」
舌をだして見せると、さらに怯えた顔をするからそれがおもしろくて、私は鞄から手鏡をだして神楽木に見せた。
『神楽木、舌だしてみて?』
「ハッ………毒か…? 毒なのかこれはっ!?」
『かもね…?』
「こんなとこで死ねるかっ!」
ヘタレな神楽木は予想通り、大袈裟に驚いて席を立ち上がった。
そのままお店を出て行こうとする腕をつかんで引きとめる。
『神楽木っ、冗談だって!』
「小林っ!」
『ちょっ、待って。冗談っ』
「冗談っ!?」
『毒じゃないから、シロップだから』
「…シロップ?」
『そう』
「なんだそれっ」
『ははっ。カキ氷も食べたことなかったなんて、神楽木も大したことないね?』
「はぁっ? ざけんなっ、あんな食いもん俺様に食べさせんじゃねえ!」
意地悪をした私に神楽木は怒ってるけど、なんか安心する。
…よかった。
私たち、ちゃんと友達になれてる。
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I(プロフ) - ねここさん» ねここさーん!またお話できて嬉しいですっっ。毎日来てくださりありがとうございます☆ …私と好みの相性がバッチリですね(笑)これからも、ねここさんが楽しんでもらえるよう書いていきます!またお話しましょう♪ (2018年6月17日 2時) (レス) id: 020c5bbf85 (このIDを非表示/違反報告)
ねここ - 神楽木と花沢類がだいっすきなので最高です><ほんとこの小説大好きです!(*^^*) (2018年6月16日 22時) (レス) id: a4296a5a43 (このIDを非表示/違反報告)
ねここ - やばーい!はやく続きが読みたいです\(^o^)/前にはじめまして!でコメントさせていただいたものです!(笑)毎日みにきてます!(笑) (2018年6月16日 22時) (レス) id: a4296a5a43 (このIDを非表示/違反報告)
I(プロフ) - おもちさん» おもちさん、読んでくださりありがとうございます!!毎日楽しみに待ってくださるだけでも嬉しいのに、こうしてお話できるなんてとっても幸せです(*^o^*) 読みやすいように構成には一番気を遣っているので褒めてもらえて、すごくパワーもらえました!頑張ります! (2018年6月13日 23時) (レス) id: 020c5bbf85 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - お話の構成が上手で読んでいてとても面白いです。毎日密かに更新を楽しみにしています(笑) (2018年6月13日 20時) (レス) id: 20265c6f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:I | 作成日時:2018年6月8日 22時