138. わすれないで ページ3
.
ようやく完成が見えてきた頃、俺は小林の思惑に気づいた。
あの女の顔がプリントされた上に、連絡先のQRコードが載っている。
…ハメやがったな。
『いつからあの女の味方になったんだ？』
「申し訳ございません…」
「あの女じゃないでしょっ？ 今日から彼女(仮)になったんだから」
ドアの外から顔をのぞかせた西留が近づいてくる。
…またお前かよ。
『お前が勝手に言ってるだけだろ』
「えっ、そうだっけ？」
『お前、何がしたいんだよっ。こんな手のかかったことして』
「さっき大事なことを伝え忘れたなぁ、って思ったから。それをパズルに込めてみた！」
『大事なことって、このQRコードか？』
そう聞くと、目の前までこいつはやって来て、両手を上にあげた。
まるで何かを授かるように、両手を胸の前で握りしめ、またあの変なポーズを構える。
「ラブパワー…MAX！ 注入〜っ！！！」
“ ドンッ ”
『痛ってぇ！』
そのまま体当たりをされた俺は、後ろにあったマットに吹っ飛んだ。
まじで何なんだよ、こいつ。
「ぁ、ごめん。けど、これが私が伝えたいこと」
『はぁ？』
「忘れないで？ 私がいるってこと」
起き上がった俺に笑いかけてくるこいつの優しさが、余計に俺を惨めにさせる。
『今はお前のそういうのがうざってえ…』
「坊っちゃん、」
「いいの。うざったいとか、うざいとか、よく言われるし」
『もう帰れよ』
「言われなくても帰りま〜す。明日も朝一から撮影なんだ。おやすみっ」
呆気なく帰ってった背中に、小林の声が俺に問いかける。
「いいんですか？ 坊っちゃん。あのまま帰してしまって…」
いいも悪いも、俺はあの女のことなんて…。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 686人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
I(プロフ) - ねここさん» ねここさーん！またお話できて嬉しいですっっ。毎日来てくださりありがとうございます☆ …私と好みの相性がバッチリですね（笑）これからも、ねここさんが楽しんでもらえるよう書いていきます！またお話しましょう♪ (2018年6月17日 2時) (
レス) id: 020c5bbf85 (このIDを非表示/違反報告)
ねここ - 神楽木と花沢類がだいっすきなので最高です><ほんとこの小説大好きです！(*^^*) (2018年6月16日 22時) (レス) id: a4296a5a43 (このIDを非表示/違反報告)
ねここ - やばーい！はやく続きが読みたいです＼(^o^)／前にはじめまして！でコメントさせていただいたものです！（笑）毎日みにきてます！（笑） (2018年6月16日 22時) (レス) id: a4296a5a43 (このIDを非表示/違反報告)
I(プロフ) - おもちさん» おもちさん、読んでくださりありがとうございます！！毎日楽しみに待ってくださるだけでも嬉しいのに、こうしてお話できるなんてとっても幸せです(*^o^*) 読みやすいように構成には一番気を遣っているので褒めてもらえて、すごくパワーもらえました！頑張ります！ (2018年6月13日 23時) (レス) id: 020c5bbf85 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - お話の構成が上手で読んでいてとても面白いです。毎日密かに更新を楽しみにしています（笑） (2018年6月13日 20時) (レス) id: 20265c6f3f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：I
| 作成日時：2018年6月8日 22時
