147. 仕組まれた食事会 ページ12
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約束の週末になり、俺は店で親父を待っていた。
これからの事を話したいと言ってくれたあの日を思い出すと、嬉しさと同時に緊張や不安が押し寄せてくる。
手に汗が滲むのを感じながら、出来たばかりのスーツ姿を鏡で確認していると、親父がやって来た。
「賢人、待ったか?」
『い、いえ…』
「曲がってるぞ」
『…ありがとうございます』
「今日は、いい日になりそうだ」
「…神楽木様、お待ちしておりました。ご案内致します」
ネクタイを直してくれた親父の優しさに、期待が高まっていく。
店員に案内され、別室へと移動した。
「こっちに座りなさい」
『…はい』
迎えに座ろうとした俺を、親父は隣に座らせた。よく見てみれば、椅子も食器も4人分ある。
「今日は大事な話がある。神楽木家の将来に関わる事だ。ぜひ、お前に同席して欲しくてな。…驚いたか?」
『いえ、嬉しいです』
「……いらしたぞ」
いよいよ、だ。そう意気込んで親父と共に立ち上がると、なぜかあの女が父親に連れられてやって来た。
「お待たせして申し訳ありません」
「我々もちょうど今着いたところですので」
『え…、』
「賢人くん…、」
なんで、お前がここに…。
こいつも知らなかったのか、お互いに驚いて立ち尽くしていると、親父が俺たちを席に着かせた。
『どうなってるんですか…、これは』
「父親として、お前と西留さんのご令嬢の後押しをしようと思ってな」
「神楽木さんはお前を、賢人くんの婚約者にしたいと仰って下さってるんだ」
形だけだとしても俺はあいつと婚約してんのに、西留と婚約ってどういうことだよ…。
「え…? でも賢人くんは別の方と婚約を…」
「あぁ、その婚約なら破談となりましたのでお気になさらずに」
そう困惑していたとき、西留に笑いかける親父の言葉にすべての点と点が繋がった。
『このためですか…? このスーツは、俺を認めてくれたわけじゃなかったって事ですか?』
「めぐみさんは、神楽木家にもお前にも最もふさわしい。いや…、お前程度の男にはもったいない女性だ」
「そんなご謙遜を…」
「お恥ずかしい話ですが、こいつはまだまだ未熟で、10点満点で言えば5点がいいとこです」
やっと認めてもらえるようになったんだと、思っていた。
けど、やっぱり俺はこの人の飾り…、いや、道具にしか過ぎなかった。
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I(プロフ) - ねここさん» ねここさーん!またお話できて嬉しいですっっ。毎日来てくださりありがとうございます☆ …私と好みの相性がバッチリですね(笑)これからも、ねここさんが楽しんでもらえるよう書いていきます!またお話しましょう♪ (2018年6月17日 2時) (レス) id: 020c5bbf85 (このIDを非表示/違反報告)
ねここ - 神楽木と花沢類がだいっすきなので最高です><ほんとこの小説大好きです!(*^^*) (2018年6月16日 22時) (レス) id: a4296a5a43 (このIDを非表示/違反報告)
ねここ - やばーい!はやく続きが読みたいです\(^o^)/前にはじめまして!でコメントさせていただいたものです!(笑)毎日みにきてます!(笑) (2018年6月16日 22時) (レス) id: a4296a5a43 (このIDを非表示/違反報告)
I(プロフ) - おもちさん» おもちさん、読んでくださりありがとうございます!!毎日楽しみに待ってくださるだけでも嬉しいのに、こうしてお話できるなんてとっても幸せです(*^o^*) 読みやすいように構成には一番気を遣っているので褒めてもらえて、すごくパワーもらえました!頑張ります! (2018年6月13日 23時) (レス) id: 020c5bbf85 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - お話の構成が上手で読んでいてとても面白いです。毎日密かに更新を楽しみにしています(笑) (2018年6月13日 20時) (レス) id: 20265c6f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:I | 作成日時:2018年6月8日 22時