60. ただひとりのお嬢様 ページ15
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天馬くんが言ってたとおり藤岡がぜんぶ話したとすれば、
藤岡だって私が天馬くんに話したことを知ってるはず。
そう思うと気まずくて、お兄ちゃんに迎えに来てもらい家に帰ると、
なぜか門の前には藤岡が立っていた。
「おかえりなさいませ、類様。失礼ですが、そちらの方はお知り合いにございますか？」
「……どうだろうね？」
『え？』
「こちらは花沢邸にございます。ご用件のない方は速やかにお引き取りを」
いつも以上に笑っていない目、冷たい声、他人行儀な口調。
……やっぱり、怒ってる。
それにお兄ちゃんもどうして…、
一礼して去っていく背中を見つめていると藤岡はふと立ち止まり、くるりと振り返った。
「申し訳ございません。お一つ、聞き忘れておりました」
『……？』
「お名前を、お聞かせ願いますか？」
『名前…？』
「はい、あなたのお名前は……何ですか？」
どうして名前なんて聞くの…？
でも、その声が少し震えてる気がした。
そのポーカーフェイスの向こう側が、泣いてるような気がした…。
『私は…………花沢……、Aです』
つられて泣きそうになりながらも、自分の名前を伝える。
珍しくニコリと微笑むその目の奥が…涙で濡れて、光ってる。
「……さようにございます、お嬢様」
『藤岡…、』
「お嬢様はどなたが何と言おうと、花沢 A様でいらっしゃいます。私の、ただひとりの……お嬢様にございます」
その言葉に、ついに涙がこぼれた。
そんな私の頭を、お兄ちゃんがやさしく撫でる。
大事なひとを、また失うところだった。
…でも、藤岡が教えてくれた。
私は、“花沢 A” だと。
藤岡が大事に思っている、人間だということを。
“ お前は、なんにも持ってない人間なんかじゃねえ ”
神楽木が言ってくれたあの言葉がいま、胸に、染みこんでいく。
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I(プロフ) - 美紀さん» 美紀さん、ありがとうございます！！！…そんなそんなっ、読んでくださるだけでも有難いのにタメ語でお話するなんて恐れ多いです〜…((+_+)) (2018年5月31日 1時) (
レス) id: 408ad8cdff (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでと(^^♪作者さんタメでいいよ (2018年5月30日 19時) (レス) id: 39e38305d9 (このIDを非表示/違反報告)
I(プロフ) - 由良さん» 由良さん、お読みいただきありがとうございます！！たったいま更新したので、ぜひお楽しみください(*^-^*) (2018年5月29日 21時) (レス) id: 408ad8cdff (このIDを非表示/違反報告)
由良 - 更新楽しみにしてまーす！ (2018年5月29日 16時) (レス) id: 3c3c648279 (このIDを非表示/違反報告)
I(プロフ) - 蓮さん» いえいえっ、蓮さんの後押しがなければ書くことができなかった作品なので、蓮さんに読んでもらえて本当にうれしいですっ！！ たったいま更新したので、ニヤニヤしながら(できるかしら笑)お読みくださいっ☆ (2018年5月26日 17時) (レス) id: 020c5bbf85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：I
| 作成日時：2018年5月22日 18時
