短編集 V (ページ7)

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冬を迎える｜ymd ページ7

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冬を迎える
ymd

『Aおはよ、』

「おはようございます」

『…うん』

「体調悪いそうですが大丈夫ですか？」

『……二日酔いだから』

「そ、うですか」

『ぁ、男友達とだから』

「へ」

『勘違いされたくねぇから』

朝から心臓に悪い言葉を浴びせてくる彼は山田さん
先週残業終わりにご飯に誘われた際に告白をされた
でも、私は一歩踏み出せなかった

理由は２つ
一つ目は釣り合わないこと
圧倒的にキレイなサヤさんという人がいて一時期山田さんとウワサが出るほどお似合いだった
それに比べて私は普通、何しても平均にしかいれないような人
二つ目は山田さんは遊び人だったこと
社内には何人も寝た人だっているわけだし、山田にとって女は日替わり定食と一緒なんて言われるほどだった

でも、山田さんは

『Aが好きになってくれるまで待つし好きにさせるから』

なんてアニメに出てきそうなセリフを言ってきて今に至る

〈A、これ資料室の所に持っていって〉

「わかりました」

資料室はB1にあって遠いし薄暗いから苦手と思いながらも嫌だが通用するほど社会は甘くない

有『手伝うよ』

「うわ！ビックリした」

有『半分貸して』

「ありがとう」

『いいよ、俺が持つ』

「………え」

部署は違うけど隣の部署だから有岡くんとはよくあってお昼に行くこともたま〜にあったりする
だから有岡くんの言葉に甘えて手伝って貰おうとすると後ろから聞き覚えのある声と同時に資料が軽くなる

『A行こ』

「うん」

有『またメシ誘う』

「うん！」

有『じゃあな』

「ありがとう」

有『おう』

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