十二 ページ13
「ほら、飲めや」
そこらにあったベンチに腰掛けて、石川が買ってくれたスポーツドリンクに手を伸ばす。とはいえ、すぐに飲むのも悔しい気がして、戸惑ってしまう。
「なんやねん。はよ取れや」
「……ありがとう」
残念なことに飲まなくては死んでしまいそうだ。素直に礼を言って喉を鳴らした。
「お前、礼なんて言えたんやな」
「うるさいわ」
どう見ても疲れている私に気遣いなどできないのか。ああできないか。石川だもの。
舌打ちしたくなる衝動を抑え、代わりと言ってはなんだがため息をついた。
石川は行き場のない手足をぶらぶらと動かしている。少し経つと、その動きはぴたっと止まった。
「……お前、どうしてん。なんか余裕なさそうやんけ」
私の癇に障らないようにしているのか、遠慮がちに尋ねる石川が可笑しかった。石川のくせに気遣いなんてするもんじゃない。
「はあ？ 私はいつでも余裕綽々ですけど？」
私はドヤ顔をかましてそう言った。本当のことだし、大体石川の言っている意味がわからない。
しかし、石川はほんのちょっと間を置いた。
「そうやな」
そして、柄にもなく私の言葉に同意しているのだ。気持ち悪いったらありゃしない。
「いや、ほんまのことやからな？ それに今日の石川はなんか変や」
こんなこと言う間柄なのか私たちは、と不安に思い、語尾に勢いがなくなる。
「谷沢に変とか言われたないわ！ まあ、陸上と野球は違うかもしれへんけど、そういうときは休んだほうがええと思うで」
よっこらしょ、としっかりと筋肉のついた腰を上げる石川。
「じゃあな」
そう言って、屈託のない笑顔を見せて走っていった。
「私は別に、なんともないねん……」
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にゃあ - はなつーさん» おー！おめでとうございます！ (2020年3月21日 0時) (
レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
はなつー - にゃあさん» ありがとうございます泣 無事合格してました！！ (2020年3月19日 20時) (レス) id: 9942ee8606 (このIDを非表示/違反報告)
にゃあ - 作者様が第一志望に合格しますように。 (2020年3月16日 15時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
にゃあ - 待ってますね。がんばってください！ (2019年12月12日 16時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
にゃあ - 受験生さんだったんですね！かしこまりました。再開されるまで楽しみにしています！がんばってください！ (2019年12月11日 1時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
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