いざ、尋常に

十三 ページ14

気になって気になって、夜も眠れない。由奈にしても石川にしても、どうして私を心配するのか。無理するなと声をかけるのか。


確かに、私はここ最近思ったように走れていない。だから、自主トレの量を増やして早く調子を元に戻さなければならない。誰にだって不調の時期ぐらいある。ただそれを早く戻さないといけない。


「＿＿わ、谷沢！！」


「ひい！」


私を怒鳴ったのは木梨先生で、今は数学の授業中。

顧問の先生の授業で物思いにふけるなんてツワモノだって？ いやいや、部活のことを考えてるんだからセーフでしょ。


「ほら谷沢。私の授業で集中してなかった罰や。終礼後に持って来いや」


「はい……」


まあ課題はぱぱっと終わらせるにして、私の走りはどうしようか。誰かに一度見てもらうか。いや、みんな今は大会前で緊張している。私だけの問題で手を煩わせるわけにはいかない。


仕方ない。思いつかないから課題を終わらせようか。


「なんじゃこりゃあああ！！」


全くわからんではないか。

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