いざ、尋常に

三 ページ4

四季があるのが日本の良いところ？ ふざけんな。


こんな暑い日なんてあってたまるか。

年中春か秋でいいだろう。


猛暑日の今日でも、激辛カレーが食堂で安く食えるなら、食わない手はない。

小銭入れを漁って、やっとこさ三百円を出す。


「いっただっきまあす」


暑さと辛さからくる汗をタオルで拭く。

カレーを食らうときの、この男らしさが素敵なことこの上ない。


「あれ、Aやん。またけったいなもん食ってんなあ」


「いや、ただのカレーやし。あんたみたいにサラダパスタとかしゃらくさいもんは食べへんねん」


私を挑発してから隣に座るのは、同級生の陸上部員、篠山由奈。

中学からの友達で、そこそこ気も知れている。


「はいはい。それよりA、そろそろグラウンドで練習しないとヤバいんとちゃう？」


ああ、やっぱりか。

正直、この話をされるんじゃないかなあとは思っていた。


「私だって出来ることならそうしたいわ！ やけどあんの野郎め……」


「野球部の石川くん？」


「くん付けなんかせんでええ！ 石川やい、し、か、わ」


ふふっと小馬鹿にしたように笑う由奈。


「仲ええなあ、あんたら」


あ、そういえば、由奈と石川のくそ野郎は同じクラスだったか。


「ちょっと由奈！ 石川に変なこと吹き込まんといてや！」


「石川くんに吹き込むようなあんたの情報なんて無いっちゅうねん」


そう言って由奈は食器を返しに行った。由奈はいつも一言多いが、どうにかならないものだろうか？


「……それより、ほんまにグラウンドどうしよう……」

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