Cafe Western (ページ5)

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藤井さんについて接客してみて、お客さんにすごい人気なのことが分かった。

女性客みんな藤井さんのことぽ～っと見てる。私が注文を聞こうとすると肩が下がるのが分かる。

でも当の本人は随分とマイペース。

『藤井さん、エプロンの肩紐ずり落ちてます』
「ん？あ、ほんまや。まあいつか直るって」
『自分で直さないと直らない気がするんですけど』

お客さんはそんなところもいいようで、きゃあきゃあ言ってる。

『イケメンってすごい』
「やんな～」

キッチンからひょこっと出てくる人。
ホールに入る前に紹介された桐山さん。

「へぇー！君新人？え？いくつ？」
「ここはキャバクラか。仕事せぇ」

中間さんと漫才みたいなやりとりをしていた面白い人。

「Aちゃん。これ5番のテーブルの人に持ってって」

『はい！えっと5番5番…』

さっき教えてもらった座席のメモを確認しながら運ぶ。いちいちメモ帳確認するの大変だから早く覚えなくちゃ。

お昼時はお客さんが続いてメモを開く暇もなかった。ランチタイムが過ぎて人がいなくなった時、やっと椅子に座ることができた。

「とりあえずお疲れ」

『中間さん。ありがとうございます』

中間さんが入れてくれたコーヒーを口につけて一息。

「接客したことない言ってたから大変やったやろ」

『はは…全くもってその通りです』

「いや、十分できとったで？俺の時よりだいぶまし」

藤井さんがテーブルの向かいに座った。

「流星注文間違えまくって淳太くんに怒られてたもんな」

けらけら笑いながら桐山さんも厨房から顔を出す。藤井さんにもそんな時があったんだ。

「その点Aちゃんは仕事熱心やね。そのメモ帳にずっと書いてたやん」

桐山さんが目に映すそれは私のエプロンのポケット。前の会社からずっと使ってるメモ帳。

仕事は見て覚えろと口酸っぱく言われていたので、聞くことができずずっとメモしていた。

『仕事を早く覚えたくって』

「いちいち書くのめんどくない？分からんかったら教えるで。淳太が」

「俺かい。ホールおるの流星やからお前がすればええやん。……でもほんま、なんかあったら言うてな」

『はい』

「メモ見て下向いとったら、せっかくの可愛い顔が台無しやで？」

た、他意はないよね？
励ましてくれてるんだよね！？

「淳太、言うなぁ」

「え？ちゃうって！そういう意味じゃ…」

「淳太くん、店長おらんからって口説いたらあかんよ」

「だから！」

お願いだから早くお客さんきて。