Cafe Western (ページ6)

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お客さんの入りが落ち着いた頃

「吉田さん」

『藤井さん、吉川です』

「そやった。吉川さん。もうええ時間やし、休憩行ってくれば？」

店内にはぽつりぽつりとしかお客さんがいない。

『ありがとうございます。でも、藤井さんの方が先にお店に来られてたので、行ってきてもらって大丈夫ですよ』

下っ端は後から、これ鉄則。

「ここ働いて1日目。疲れてるやろうし、先行ってきて」

確かに初日ということもあって、肩肘はって緊張していた。それを自覚すると肩がずん、と重くなった気がする。

『あ、ありがとうございます』

優しい藤井さんに見送られてスタッフルームへと戻る。

扉を開けると

イケメンがいた。

『えっと…』

「あー、…あー！はいはい！」

お互い目があってフリーズしたけど、相手の方が何故か納得したように頷いた。

「あれやろ？今日から新しく入った子」

『は、はい！吉川Aです』

「やっぱり！俺、小瀧望。淳太から聞いててん。新しい子入るって。しかもそれが女の子やって。あ、そこ座って」

小瀧さんの向かいに腰を下ろして、じっと見る。

睫毛長いし目ぱっちりだし背高いし、藤井さんに負けず劣らず…すごいなこの店。

「俺夕方からなんやけど、早く着いてここで時間潰しててん。休憩やろ？冷蔵庫やポットあるから適当に飲んでええよ」

『ど、どうも…』

適当にお茶を出す。あ、小瀧さんもいるかな？

くるっと振り返ると、私の言いたいことが分かったのか

「大丈夫。てか吉川さん敬語使わんでええで？」

『え！？でも』

「きっと俺のが年下やと思うし」

『ええ！！？』

こんなに大人びた顔してるのに。

『ちなみに、いくつ？』

「専門出てすぐ働きはじめたから二十歳。吉川さんは？」

『…春に大学卒業しました』

なんとなく具体的な年齢を言いたくなくてこう言ったけど、あんまり意味なくて、小瀧さんは「あ～」と納得したようだった。

「やっぱりな～。だから敬語はええよ。さん付けもやめて」

『じゃ、じゃあ…小瀧くん？』

「………」

名前を呼ぶと腑に落ちない感じでそっぽ向かれてしまった。

『え、なんで？』
「………」
『小瀧くん？』
「…………」

『……の、望、くん？』

「おん！よろしく、Aちゃん！」

キランッと爽やかに笑うイケメンに目が潰れそうです。

「やっぱ女の子に“望くん”って言われるとテンション上がるわ～」

望くんは大人びているようで、やっぱり男の子だなと感じました。