【実況】私のスーパーヒーロー【ky】 (ページ37)

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気がつくと私は、真っ暗な空間にただポツリと立っていた。

(これは……夢？)

何もない空間に、現実味の無い空気感。ぼんやりとした意識に今見ているものが夢なんだとわかる。

夢なら何したっていいか。

周りをぐるりと見渡すと、遠くに一箇所白く光っている場所が見える。私の足は無意識にその場所に向かっていた。

けれど

「A」

突如背後から現れた彼。振り向きその姿を確認すれば、また心の奥から恐怖が迫り上がってきて奥歯がカタカタと音を鳴らす

「裏切り者」
「何で俺のこと置いてくの？」
「ねえ」

じわりじわりと距離を詰められる。頭の中では逃げろ！と何度も警告が鳴り響いているのに、足がその場に縫い付けられてしまったかのように動くことができない。

とうとう彼は私の目の前まで迫ってきて、私の肩をトン、と押した。

大した力で押されたわけでは無いのに、私はその場に倒れ込んでしまう。これが夢だからか、それとも私の中の深層心理が彼からは逃げられないと思っているからなのか。

ただ恐怖に震え、何もできずに彼を見上げていると彼は私に馬乗りになり、その両手を私の首に添えた。

「お前なんかーーー」

彼が私への悪態をぶつぶつと呟きながら、焦点のあっていない瞳で笑う。

怖い。
誰か、

誰か、助けて

(ーーーんーーーさん！)

「Aさん！！」

堕ちていきそうな暗闇の中、誰かが必死に私を呼ぶ声にハッとし、目をあけた。

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