全然しゃべらない ページ48
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娘の時ほど悪阻はなかったAが出産のために入院した。しばらく娘との二人生活が続く。
「ままにあいたいな…」
「パパもママに会いたいよ。元気な赤ちゃんと帰ってきてくれるの待ってような」
「うん…」
最初はずっと泣いてた娘は、最近お姉ちゃんになる準備が出来たのか、泣かずに寝るようになった。その姿に成長を感じる。
抱き締めていたらいつの間にか眠ったようで、自分も眠りについた。
まだアラームが鳴るには暗い時間にスマホが鳴った。
なんだろうと思って見たら病院から電話。
それまで眠りとの境界線をうろうろしてたけど一気に目が覚めた。とりあえず着替えて娘を起こさないように抱っこしてタクシーに乗って病院へ向かった。
「すいません、梅原です。妻は、」
「陣痛の間隔が狭くなってもうすぐ産まれそうなんですが、体力の面を考えると帝王切開に切り替えた方が安心かと」
娘の時は予定日通りに生まれたけど、今回は大幅にズレて、陣痛もかなり続いてるけどなかなか生まれない。何よりAの身体の事を優先するために同意書にサインをした。
「ぱっぱ…」
「あ、起きた?もうすぐ赤ちゃん生まれるって」
「ほんと…?ままは?」
「今あっちのお部屋にいるよ」
「娘もいきたい」
「え、パパとここで待ってよう」
「ままにあいたい…」
不安で仕方ない。Aに何かあったらどうしようとあう考えがずっと頭の中をグルグルしている。無事に生まれて欲しいし、Aも無事に戻ってきてほしい。
そう願って一時間、部屋の扉が開いた。
「おめでとうございます〜、元気な男の子ですよ。奥様もうすぐ戻って来られますからね」
「ありがとうございます…」
「ありがとござましゅ!」
溢れだしそうな涙を我慢して、そこに寝ている小さな命を見た。感動に浸ってるあいだにAが出てきた。疲れて眠ってるから一緒に病室まで戻って起きるのを待った。
待ってるあいだに息子も来て、家族4人初めて揃った。
『ん…裕一郎、』
「起きた?お疲れ様、ありがとう」
「ままー!娘、おねえちゃんになった!」
『ふふ、おめでとう。頼りにしてるよ〜』
「まかせて!」
張り切った姉の娘は、俺に抱っこされながらずっと寝ている息子を眺めている。
「ねー、まま、ぜんぜんしゃべらないんだけど」
『生まれたばっかだもん。娘もそんな感じだったんだよ?』
「え、うそだ!」
「何の嘘だよ」
これから家族4人。楽しみだ。
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p@n@(プロフ) - のぞみさん» コメントありがとうございます。このお話に関しては、続きは作っておりません…今書いてるものが完結したら、似たようなお話にはなってしまうかもしれませんが、梅原さんとのお話を書く予定です!コメントして頂いたのに申し訳ございません。 (2021年5月29日 10時) (レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
のぞみ - 面白いです。続きはないんですか? (2021年5月29日 8時) (レス) id: 90a3a483bc (このIDを非表示/違反報告)
chimo(プロフ) - 永遠に幸あれ完結お疲れ様でした!とてもほっこりして素敵な作品でした!次回作西山さんということで楽しみにしておりました!引き続き愛読させて頂きます! (2021年1月31日 16時) (レス) id: f2165dc798 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - めちゃくちゃドッキドキやな…って感じです。ありがとうございます…… (2021年1月25日 23時) (レス) id: e5cbfbc5c1 (このIDを非表示/違反報告)
p@n@(プロフ) - さきさん» コメント、リクエストありがとうございました!!書いていてとてもドキドキしました……これからもよろしくお願い致します! (2021年1月25日 23時) (レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:p@n@ | 作成日時:2021年1月9日 0時