永遠に幸あれ【梅原裕一郎】

新生活スタート ページ29

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生まれるまで、お腹の子を「赤子」と呼んでいたけど、今はそういう訳にはいかない。
名前をAが入院してる間に考えて、いくつか候補を出した。

「で、これなんだけど」
『たくさんあるね…びっくりしちゃった』
「どれも可愛いかなって」

名前は最初のプレゼントだから、結構真剣に考えた。ひょろっとで「梅原家の子供の名前を考えよう」というふざけたコーナーで、ちょっとふざけた名前を候補に挙げてたけどそれは全部無視。

『あ、私この名前がいいと思う…』
「なんで？」
『なんか、顔見て思ったんだよね』
「まぁ…言われてみればって感じ。そうしようか」
『うん！考えてくれてありがとう』

梅原娘
うん。しっくりくるかも。

出生届を出して、やっと手続き的には全部終わった。

退院の日、Aが娘を抱っこしてくれて、荷物を俺が持った。
待て、そういえば部屋片付けてないかも。

『え…空き巣でも入った？』
「ちゃんと鍵閉めてたんだけどな…なんだろうな」
『いや散らかりすぎでしょ！』
「名前考えてたら片付け後回しにしちゃったわ」
『もう〜奇跡的にベビーベッドだけ綺麗じゃん』

娘をベッドに寝かせて、その間に片付けた。

あっという間に一日が終わって、やっとゆっくり出来るかなと思ったところで娘が泣き出した。これが子育てか……とひしひし感じる。

「すげぇ腹式呼吸だ…」
『…ほんとだ。すご。勉強になります娘たん。明日からもっと忙しいんだろうなぁ』
「仕事よりバタバタするかもね」
『けどそれも幸せだよね』
「うん。明後日から仕事か……」
『頑張って！』
「行きたくねえな。ずっと娘見ときたい」

Aはしばらく休みだからずっと一緒にいられるけど、俺は仕事が始まればそういうわけにはいかない。泊まりのロケとかイベントだって増えるだろうし、その分Aは一人になってしまう。
どうすればいいものか、と頭を悩ませた。

「一緒に仕事行く？」
『いやダメでしょ』
「ダメか」

生まれて数日後、三人でゆっくり過ごせる日はあっという間に終わって、仕事も再開。

「行ってきます」
『行ってらっしゃい〜！パパお仕事行くよ、バイバイしよっか』
「はぁ…娘行ってくるよ」
『…行ってらっしゃいだって』
「めちゃくちゃ寝てるわ」
『あはは』

起こすのも悪いしこっそり出ていった。
数時間後、

裕一郎が出た瞬間起きたよ

というメッセージと動画が送られてきて、電車の中で悶えた。

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